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事故現場で誰もが1度は見たことのある「レッカー車」! でも意外と知られていない「中身」とは?

事故現場で誰もが1度は見たことのある「レッカー車」! でも意外と知られていない「中身」とは?

この記事をまとめると

■動かないクルマを移動させる際に活躍するのがレッカー車だ

■牽引車両に対応する免許があれば運転できる

■利便性の追求やハイテク化が進んでいる

道路運送車両法上の「特種用途自動車」に該当

 クルマが出先で故障したときなどに、修理工場まで運んでくれるレッカー車。近年は自動車保険(任意保険)に「レッカーサービス」が付帯していることも多く、利用するドライバーが増えているようだ。なかには路上駐車をしたときに、望まぬ移動をさせられるといった苦い経験でレッカー車とかかわった人もいるかもしれない。

 一般的に、レッカー車とは牽引対象車両の前輪か後輪を吊り上げ装置でもち上げて牽引する車両のことを指しており、道路運送車両法上の「特種用途自動車」にあたる。車両を荷台に乗せるタイプのものは運搬車(積載車)と呼ばれ、ウインチやクレーンなどを使用して搭載する。車両を運ぶという点では用途がレッカー車と似通っており、事業者のなかには同じ括りにしているところもあるようだ。

 レッカー車は被牽引車が車両扱いになるトレーラーとは違う(被牽引車は車両だが荷物・積載物の扱い、キャリアカーに乗っている車両と同様)ので、牽引車両に対応する運転免許があれば運転が可能だ。すなわち、牽引免許を所持する必要がない。ただ、クレーンやウインチなどを使用する作業員は、労働安全衛生法に基づいて、作業に対応した資格が必要になる。

 なお、一般車両が牽引ロープで車両を牽引する場合は、被牽引車に対応した運転免許をもつドライバーを乗せるなどの決まりがあり、レッカー車が牽引する場合とは扱いが異なってくる。

 レッカー車は牽引する車両に対応して車両の大きさや装備が異なるものの、いずれも利便性・作業性の追求やハイテク化が進められている。これは、作業現場の状況が一辺倒ではないことが大きい。むしろ、作業スペースが確保されているなど、条件が整っていることのほうがまれなのである。

 そのようななかで、作業中に事故が起きないように注意を払いながら、対象車両を安全に短時間で牽引可能な状態にするためには、そのときどきに応じた多様な工具や装置が必要になってくるわけだ。そこで、車両のコンパクト化や装置・装備のハイパワー化・多機能化が求められるようになっていった。5月に横浜で開催された「ジャパントラックショー2024」の展示車両にもその傾向が顕著に表れている。

 たとえば、レッカー車のボディには収納スペースがあらゆる場所に設けられ、そのなかにはウインチブーム・クレーン・アンダーリフトのアタッチメントや、各種工具・コンプレッサーなど数多くのものが、まるでパズルのように整然と収納されているのだ。

 アンダーリフトなどといった牽引機器類の操作スイッチは、リヤゲートだけではなくキャブ内などにも設置するのがスタンダードになってきている。また、アンダーリフトと一体化したレッカーブームに、起伏角度が変えられるようになっているタイプのものが開発された。これらは、スペースに限りのあるような現場でも、操作・作業が行ないやすくなるように考えられたものである。

 レッカー車は単に故障車両などを牽引するだけではなく、事故などの際には横転した車両を引き起こすといった、複雑な作業も行わなければならない。また、災害時の救難・復興活動にも期待が寄せられている。このように、レッカー車の利用シーンが多様化していることもあり、今後はさらに大きな進化を遂げるのではないだろうか。

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