超貴重なクルマがオークションに登場! イズデラ・インペレーター108iは実質300SLの後継車だった (2/2ページ)

かつて長らく日本にて保管されていた

 今回出品されたのは13台が生産されたシリーズ2で、その特徴はポップアップ式のヘッドライト(シリーズ1では固定式が採用されていた)を始め、フロントグリルの開口部がさらに拡大されたこと。フロントホイールアーチには通気孔が、ボンネット上にもNACAダクトがオフセットして採用されたことなどがある。

 エキゾーストのツインテールパイプも、右ホイールアーチ前方にそのレイアウトが変更されているが、これはプロトタイプのCW311と共通するフィニッシュになる。

 鋼管製のスペースフレームを構造体とするインペラター108iのミッドには、メルセデス・ベンツ製のM117型5リッターV型8気筒、M119型5LリッターV型8気筒、AMG製の6リッターV型8気筒などさまざまなパワーユニットが組み合わされたが、出品車に搭載されていたのは最高出力で約300馬力を発揮する、M119型。

 これに5速のZF製MTが組み合わされ後輪を駆動するのがパワートレインの概要だ。サスペンションは前後ともダブルウイッシュボーン形式となる。ブレーキももちろん4輪ディスク式だ。

 この車両は、1991年にイズデラから出荷されたあと、日本のカスタマーへと納車される。ドイツ車らしく魅力的な色合いを見せるシルバーのボディカラーに、リッチなブラックレザーの組み合わせは現在でもその魅力は大きく、長年日本に存在したあと、2016年にはイギリスで登録。さらにすぐにドイツの企業に売却されることになる。このときには部分的なレストアも行われ、さらにコンディションを高めた。

 現在のオーナーの手に収まったのは2021年のことで、同年9月にはさらにエアコンやブレーキなどの整備も行われた記録が残されている。参考までに現在までの走行距離はわずかに1912km。RMサザビーズは80万~100万ドルの予想落札価格を掲げオークションはスタートしたが、残念ながら今回はこのインペラター108iを落札する人物は現れなかった。

 0-100km/h加速で5秒フラット、最高速では283km/hをスペックシートに掲げた、このきわめて野心的なスーパースポーツ。その希少性を考えれば、その価値はこれからますます高まる傾向にあるのは間違いのないところだろう。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

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