この記事をまとめると
■アメリカのモントレーカーウィークにイズデラ・インペレーター108iが出品された
■メルセデス・ベンツのコンセプトカー「CW311」をベースに生み出されたモデル
■残念ながら今回オークションでは落札する人物は現れなかった
2024年のモントレー・カー・ウィークに激レア車降臨
毎年8月中旬に開催される世界的なクラシックカーの祭典といえば、それはアメリカのカリフォルニア州モントレーを中心に、いくつものイベントが行われる、モントレー・カー・ウィークだ。
このモントレー・カー・ウイークでの楽しみのひとつが、大手のオークショネアが主催するオークション。各車ともに話題性に富む出品車を用意して、そのオークションは盛況のなかで終了したが、ここではRMサザビーズが出品した一台の希少モデルを紹介することにしよう。
それを開発、そして生産したのはドイツのイズデラ社。かつて日本にも正規輸入代理店があったイズデラだが、その事実を知る者も現在では少なくなった。
イズデラとは、ドイツ語で「Ingenieurbüro für Styling, DEsign und Racing」、スタイリング、デザイン、そしてレーシングのためのエンジニアリング・オフィスを意味する社名である。
創始者であるエーベルハルト・シュルツは、エンジニア、またデザイナーとしてのキャリアをポルシェでスタートし、その後メルセデス・ベンツへと移籍。ここで300SLの後継車プロジェクトを立ち上げるものの、それはキャンセルされ、結果的にシュルツはライナー・ブッフマンが率いるbb社へと移籍。そこでCW311と呼ばれるコンセプトカーを生み出すことになったのだ。
イズデラ社は、このCW311を市販することを目的に、1982年に設立された会社だ。ここでCW311のコンセプトをベースに誕生したのが、今回のRMサザビーズのモントレー・オークションに出品された「インペレーター108i」。
当時としてはきわめて斬新なデザインのボディは、優秀なエアロダイナミクスのみならず、その素材にグラスファイバーを使用することで軽量化にも積極的な取り組みを見せたもの。ガルウイング式のドアは、いかにもそれが往年の300SLからの血統を受け継ぐモデルであるかのような印象を見る者に与えてくれた。
ちなみにこのインペラター108iはトータルで30台が生産されているが、ボディデザインのディテールの違いで、それはシリーズ1とシリーズ2にわけられる。