こんな凄いクルマが150万円切りとかいい時代すぎる! ダイハツイチの愛されキャラ「初代コペン」 (2/2ページ)

当時は熟練の職人による手作業で生産を行っていた

 また、2名乗車と割り切った室内は、大人ふたりが乗っても十分なゆとりある空間となっており、2リッタークラスの乗用車並みの上質感を目指した作り込みが細部に見られるのも魅力のひとつ。もともと大量生産のクルマではないため、熟練の職人による手作業をメインとし、多くの人に「スポーツカーをもつ歓び」を感じてほしいという願いが込められています。

 また、2代目にも受け継がれている電動開閉のハードトップは、初代コペンのハイライト的装備です。センターコンソールのスイッチを押すと、約20秒で操作が可能となり、信号待ちのわずかな時間でも開閉できることから、町ゆく人たちの驚く顔が見られるのもユーザーの特権といえるでしょう。

 そして、パワートレインは、当時のムーヴに搭載していた659cc直列4気筒DOHC16バルブのインタークーラー付きターボエンジンに、4速ATと5速MTを設定していました。ダイハツにはMTが3種類ありましたが、なかでも各ギヤのギヤ比が近く、レーシング用とまではいかないものの「セミクロスミッション」と呼ぶコアなファンもいたくらいの5速MTが採用されています。低回転からのトルクとレスポンスのよさが発揮されるツインスクロール式で、最高出力64馬力、最大トルク11.2kg-mのパフォーマンスは、市街地でも爽快な走りを楽しませてくれたのです。

 さらに、初代コペンの偉大さはその価格設定からも感じることができます。こだわり抜いて完成したオープンスポーツカーが、軽自動車とはいえ150万円を切る149万8000円。維持費が抑えられることもあり、「いつかはオープンカー、スポーツカーをもちたい」という夢がグッと近づく、多くの人に希望をくれたスペシャリティカー。それが初代コペンの大きな功績ではないでしょうか。


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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