この記事をまとめると
■駐車場の「障害者優先駐車スペース」や「軽自動車専用枠」に法的効力はない
■一般の駐車枠だと車いす利用者などが使いづらい理由がある
■罰則はなくともやむを得ない場合を除き対象外の利用は控えるべき
罰則はなくとも健常者であれば駐車はしないが鉄則
駐車場で見かけることがある車いす専用や軽専用などのマークや表示。これらには法的効力があるのでしょうか。この記事では、駐車場のマークや表示に法的効力があるのか、一般の人が停めたらどうなるのかなどを解説します。駐車場で悩まないためにも、参考にしてみてください。
駐車場の表示は法的効力がない
結論をお伝えすると、駐車場のマークや表示に法的効力はありません。いい換えれば、マークや表示がある駐車枠は、だれでもクルマを停めることができます。
公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会(JSRPD)によると、「スーパー等の駐車場は私有地であるため、障害者優先駐車スペースは、施設管理者の責任において適切に判断されることになります」とのことです。よって、法律により障害者優先スペースに健常者が駐車することが違反だと定められているわけではありません。
また、障害者ではないと思われる人が車いすマーク(国際シンボルマーク)を貼っていても罰則などがないのが現状です。ペースメーカーを入れている方をはじめとする内部障害者は、障害者であるものの一見すると健常者のように見えます。そのため、見た目だけで障害者か健常者か判断するのは難しいといえるでしょう。
なぜ駐車場の表示があるのか?
法的な効力がなく、だれでも停めることができる駐車場所に、マークや表示が書かれているのはなぜなのでしょうか。それは、利用シーンを見たりイメージしたりすることで納得することができます。
たとえば、車いすを利用するほうがクルマに乗り降りする際は、クルマの右または左にある程度のスペースが必要です。そのため、車いすマークがある駐車場は、左右のスペースが広く、車いす利用者がクルマに乗り降りする際に隣のクルマにぶつからないほどのスペースが取られています。
また、軽専用駐車場を見てみると、そのほかの駐車場より、長さが短かったり、幅が狭かったりします。ほかの駐車場より狭い場所にミドルクラスのクルマが停まると、駐車枠をはみ出すだけでなく、クルマへの乗り降りができなくなる可能性もあるでしょう。そのため、車種を限定していると考えられます。
これらの事例のように、実際の利用シーンを見たりイメージしたりすると、駐車場にマークや表示が書かれている意味がわかるのではないでしょうか。
一般の人が停めたらどうなる?
マークや表示がある駐車枠に一般の人がクルマを停めたとしても、法的効力がないため、罰則などが課されることはありません。また、一般の駐車枠が空いておらず、一刻も早くクルマを停めなければならない場合、やむを得ずマークや表示がある駐車枠に停めることとなります。そのため、一般の人がマークや表示がある駐車枠にクルマを停めてもとくに問題はないのです。
しかし、やむを得ない理由がないのにもかかわらず、マークや表示がある駐車枠に一般の人がクルマを停めると、本当に利用したい人がクルマを停められないといった事態になる可能性があります。よって、致し方なくマークや表示がある駐車枠に停めなければならないとき以外は、一般の人がマークや表示がある駐車枠を利用するのは控えたほうがよいといえるでしょう。