8月単月の新車販売台数は前年割れ! 軽は出荷を再開するも完全復調とはいえないダイハツが影響 (2/2ページ)

ダイハツのトップ奪取は難しい

 8月の新車販売統計の特徴は、そもそもはそれまでの夏商戦(6・7月)までに新規受注したものの新規登録(軽自動車は届け出)が間に合わなかった受注分(受注残)の新規登録分(軽自動車は届け出)が多く含まれること。現状では供給状況が改善傾向にあるとはいえ、契約当月内納車が実行されることは奇跡に近いのが現状となっているので、そのほとんどが受注残車両と考えてもいいかもしれない。

 ただ、「年内に新規登録(軽自動車は届け出)したい」、「決算月なので3月までに新規登録したい」、そして「お客さんが夏休み(お盆休み)に新車で出かけたいといっている」などの理由で、12月や3月、7月には駆け込み生産のような形で工場からの出荷台数も多くなり、統計上の新車販売台数が増える傾向にある。

 しかし、仮に実車が間に合っても登録関係書類の都合などで、翌月(1月や4月、そして8月)に新規登録(軽自動車は届け出)がこぼれることは珍しくない。たとえば、「7月に登録がギリギリ間に合いそうだ」としていても、当該新車の出荷が結果的に8月になってしまうことも珍しくない。

 そこで、8月の販売台数を7月の販売台数比で見ると、2023年7月単月の登録乗用車販売台数に対して、2023年8月単月の登録乗用車販売台数は約82%、一方2024年8月単月の販売台数は2024年7月単月比で約78%となっている。つまり、7月までに新規登録(軽自動車は届け出)できなかった受注残が減ってきている(供給状況が改善されている)、つまり8月にこぼれる分が少ないことを表しているとも統計上から判断することもできるのである。

 事業年度(4月から翌年3月)締めでの上半期末の9月や、事業年度末となる3月では、可能な限り取りこぼし(受注残を発生させない)を防ぐためにかなり多く新規登録(軽自動車は届け出)を行うので、8月よりも4月や10月のほうが販売台数の落ち込みが顕著となることも多いが、供給状況次第では4月や10月の販売台数が例年より目立って多く見える年もあったりするのである。

 本稿執筆時点では、いよいよ2025年まで4カ月を切っている。今後は、2024年12月までは2024暦年締め年間新車販売目標台数達成のための動きが目立ってくるはずだ。納期の早い新車の新規受注を追いかけるだけではなく、受注残車両をできるだけ減らそうとする動きも目立ってくる。可能な限り「越年納車」を回避するために、12月までに出荷を間に合わせようという動きも目立ってくることになるだろう。

 報道では10月末にダイハツは環境規制への対応の遅れにより一部車種について再び生産停止となるとのこと。軽自動車だけではなく、トールやロッキーといった登録車も対象になるそうなので、トヨタ向けOEM(相手先ブランド供給)車となるルーミーやライズも対象になる。こうなると、一時的な生産停止のようだが販売台数統計へも少なからず影響を与えそうである。

 軽四輪車総販売台数では2024年8月単月もスズキがトップとなっている。2位のダイハツとは5850台差なのだが、軽四輪乗用車ではトップのスズキと2位ダイハツとの差は約1万台となっている。軽四輪貨物ではスズキに4000台ほど差をつけてダイハツがトップとなっているものの、ここ最近はハイゼット・トラックやバンなどダイハツ軽四輪貨物の届け出済み未使用軽中古車も店頭では目立っている。

 軽自動車では三菱が軽四輪乗用車で前年比117.7%と著しい販売増を見せているが、これは「デリカ ミニ」が大きく貢献しているのは間違いない。

 しかし、本稿執筆時点では、間もなくスズキから新型スペーシア ギアが登場予定となっているし、ホンダもN-BOXの派生車種としてクロスオーバーSUV風モデルの投入を準備している模様。ダイハツも「タント ファンクロス」をラインアップしているので、今後はハイト系ワゴンの派生クロスオーバーSUV風モデルが、車名(通称名)別だけではなく、ブランド別軽自動車新車販売台数でもキャスティングボードを握っていくのではないかと考えている。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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