この記事をまとめると
■買い取られた不動車は廃車となって鉄くずとして取り引きされるのが主流だ
■解体して部品となって新興国などに輸出されることも多い
■クルマを引き取ってもらう場合は登録抹消も行ってくれるか確認しないとトラブルになることがある
部品となって海外に渡ることも多い
街なかの看板や中古車情報誌の広告などで見かけるのが「不動車買い取ります」というもの。動かなくなったクルマを買ってくれるのか? と思いつつ、買ってどうするのだろうか、と思ったりもする。買い取ってもらったとして、一体どこへ行くのだろうか。
実際にはいろいろなパターンがあって、いま一番多いのは廃車だ。昨今、ニュースにもなっているように、原材料が高騰しているので鉄くずとしてけっこうな価格で売れる。クルマの場合、アルミも使われているのでなおさらだ。使われている金属の量やそのときのくず鉄相場にもよるが、5万円ぐらいにはなる。買い取るといっても1万円程度なので、その差が儲けになるというわけだ。引き取ってくれるのは解体屋。そのほか、ボディからエンジンまですべて分解して中古パーツとして売るというのもある。
そして、中古部品という点でいま増えているのが、海外への輸出だ。とくに新興国では、まだまだクルマは高額品なので何度も修理して使い続けるのが普通。そうなると、中古部品の需要も高く、不動車や事故車でも使える部品があれば輸出する価値は出てくる。正直なところ、国内で中古部品にするよりも、円安の影響で輸出したほうが利益が出ることも多いので、現在はこちらが主流となっている。
これは使用できる中古車でも同じで、現在、低価格の中古車は輸出にまわされることが多い。鉄くず、中古パーツ、中古車にしろ、円安の影響が大きくあるといっていいが、まわりまわって国内の価格を押し上げる要因になるのは考えものだ。
そのほか、板金職人などの不足で最近ではあまり行われていないが、事故車を動けるように修理して販売する例もある。事故車の起こし、というと「ダマシ」のようなイメージがあるが、以前は専門店があったほどで、わかっていて買うならいいだろう。
実際に取材したこともあるが、イメージ的には数万円で引き取ったものを100万円ぐらいで売る感じ。利益を別にしても補修に数十万円はかけられるので、見極めさえできれば商売になるようだった。実際にスタッフに聞いても「事故車と明記しているし、問題なく走るようにはしているので、一般の中古車よりも安いので喜んでもらっている」とのこと。中古車高騰の昨今、また事故車起こしは復活しそうな気配もあるが、そのまま海外へ流したほうが儲けは出るのは確かなだけに、為替の動き次第だろう。
引き取ってもらう際の注意点としては、中古車同様、廃車手続きをちゃんとしてくれるかを確認するべし。ナンバーを切らないまま流れていってしまうと、税金だけかかってしまうなど、いろいろと面倒なことが多い。対応のいいところは廃車証明を送ってくれるたりするので、動かないからといって処分してもらっておしまいではなく、手続き関係も重視してお願いするようにしたい。