この記事をまとめると
■フェラーリF355がエヴォルート・アウトモビリによってレストモッドされた
■3.5リッターV8は徹底的にリファインされて21世紀レベルの信頼性を獲得
■355 by エヴォルートの内外装は世界的カーデザイナーのイアン・カラムによるもの
フェラーリをレストモッドするという大胆な行為
勉強不足で怠惰な穀潰しである筆者は「レストモッド」という言葉を今日の今日まで知らなかったのだが、いま、自動車の世界では「レストモッド」なるものが流行中であるらしい。レストモッドとは、「レストア(復元)」と「モディファイ(修正、変更)」をかけ合わせた造語で、旧車をただ蘇らせるだけでなく、現代ならではの技術と独自解釈を投入したうえで復元することを意味しているそうだ。
そういえば、「レストモッド」という言葉自体は無知ゆえに知らなかった筆者だが、クラシックポルシェに現代風のテイストを入れ込んだうえで復元させているアメリカの「シンガー」については、それなりに興味をもって眺めていた。なるほど、あれがレストモッドというやつか。
そして、そんなレストモッド界に現れた超注目モデルといえば、イタリアの「Evoluto Automobili(エヴォルート・アウトモビリ)」がフェラーリ F355をレストモッドした「355 by エヴォルート」だろう。
「最高のアナログドライビングエクスペリエンス」を提供するよう設計し直されたというこの355は、ドナーカーであるフェラーリ F355をエヴォルート・アウトモビリが丹念にオーバーホールし、パーツレベルで徹底的な検査と評価、洗浄を実施。そして、場合によってはカーボンで強化したうえで、カスタマイズが行われた。
シャシーでは広範囲に及ぶねじり剛性テストが実施され、1250kgという車両重量はキープしつつ、ねじり剛性はベースモデル比で23%向上。そして、シャシーの重要なポイントはすべて強化することで、走行中のたわみは最小限に抑えられているとのこと。
当然ながらパワーユニットも、「レストモッド」によって大幅にアップグレードされている。
フェラーリ製3.5リッター V8エンジンには、200を超える新部品また再設計部品や補器類が装着され、新たなエンジンマネジメントシステムやコイル・オン・プラグ点火システム、特注の吸気カムシャフトに連結されたソリッド・カム・リフターなども採用。さらにチタン製排気システムと最新のトルクセンサーを組み合わせたことで振動が低減され、「21世紀レベルの信頼性を獲得」しているともいう。
これらの結果、「355 by エヴォルート」の最高出力は、ベースエンジンを40馬力上まわる425馬力となり、最大回転数は、フェラーリ F355がバリバリのニューモデルだったときと同じ8500rpmをキープ。