いくら性能向上してもやっぱ初代だよなぁ〜! けっして「昔はよかった」的懐古主義じゃない「初代こそ最高」なクルマ5台 (2/2ページ)

世界の自動車シーンに影響を与えたスポーツモデルもある!

 3台目は、ふたり乗り小型オープンスポーツカーで生産累計世界一としてギネス認定されている、マツダ・ロードスターの初代です。もともとは、1960年代から欧州を中心に人気となっていたライトウエイトスポーツカーのような軽快なハンドリング、気軽なオープンエアモータリングの楽しさを提供するため、1989年に誕生しました。

 重量1トンを切る軽さと、大人ふたりがゆとりを持って過ごせる室内。そして、自分の手足のように操ることができるスポーツカーとしての楽しさと、空と一体になるようなオープンカーの楽しさを融合したモデルとして、一躍人気者となりました。

 その後、時代を取り巻く環境性能や安全性への要求に応えるため2代目、3代目とモデルチェンジをする上で、初代ほどの軽さは失われ、ドリンクホルダーなど快適装備が追加されたりと、ストイックさも少しゆるんでいったように感じます。

 現行の4代目は原点回帰を目指し、時代の要求に応えながらも初代のようなライトウエイトスポーツカーを作り上げてきたため、再びファンが増えている状況ですが、初代を見て若い世代がレトロな魅力を感じたり、久しぶりに初代に乗った熟年世代がその低さ、軽さにあらためて感動するなど、いまだに初代ファンが多いモデルとなっています。

 4台目は、2024年にF1参戦60周年を迎えたホンダが、F1参戦第二期を機に「世界に通用するHondaの顔を持ちたい」との願いから開発したという、1990年に登場した初代NSX。マクラーレンホンダが連戦連勝する姿がフジテレビで放映され、F1ドライバーのセナ、プロストは子どもたちにまで人気があった当時、NSXもまた憧れのスーパーカーとして人気を獲得しました。

 世界初のオールアルミボディ、ミッドシップ・リヤドライブレイアウトに、美しい雄叫びをあげるエモーショナルなVTECエンジン。低く長いノーズをもつスタイリングで、路面に張り付くかのように駆け抜ける姿にも魅了される人が続出したものでした。

 2005年に生産終了後、11年の時を経て新型が登場しましたが、中身はV6ツインターボ+3モーターのハイブリッドシステムに変貌を遂げた、新世代のハイパフォーマンススポーツカー。

 デザインもそれに合わせ、未来的なフロントマスクが個性的で存在感も抜群でしたが、やはり初代とは別モノと捉える人も多く、いまでも初代を懐かしむ声が聞こえてきます。

 5台目は、あまりにも初代のインパクトが強く、ロングセラーモデルとなっていただけに、新型が登場しても初代の存在感が大きすぎるモデルが、トヨタ・ハリアー。日本におけるラグジュアリーSUVの先駆け的存在として1997年に登場しました。

 フロントマスクには、トヨタエンブレムではなくタカ科の鳥「チュウヒ」をモチーフとした独自のエンブレムを配置し、キャッチコピーは「WILD but FORMAL」ということで、ライオンの頭部にタキシードを着た紳士がイメージキャラクターとして登場。それが大きなインパクトを与え、初代ハリアーは都会的な雰囲気をもつエグゼクティブが乗るSUVというブランドを確立したのです。

 一説には、「娘の彼氏に乗っていてほしいクルマ」として母親世代からの支持も厚かったのだとか。ハリアーは2代目以降も基本的なコンセプトは引き継いでおり、最新モデルもそのラグジュアリー感はしっかりと進化していますが、SUVなのにウッドをふんだんに使って仕上げたインテリアなど、当時はまだほかになかった世界観をもっていた初代の存在感が大きすぎて、いまだに語り継がれています。

 こうして見てくると、初代というのはそれまで世界になかったもの、時代を突破して切り拓いたもの、というパワーがあるモデルばかり。それだけに、人の心にも強く残りやすく「やっぱり初代はよかったな」と感じるところもあるのかもしれませんね。


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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