この記事をまとめると
■高速道路のSA・PAはNEXCO東日本の見解だと明確な区別をつけにくい
■海外のSAやPAは短時間の休憩をするための施設なので日本とはそもそも使い方が異なる
■日本ではSAやPAを最終目的地として楽しみながら旅行することも珍しくない
日本のSA・PAは長時間利用が多いために独自の進化を遂げた
海外と比べて、日本のSA(サービスエリア)やPA(パーキングエリア)は「凄い」と、よくいわれる。実際、世界各地でSAやPA、またはそれに似た場所を体験している身としては、確かにそうした意見に同感だ。
それにしても、なぜ日本のSAやPAはここまで特化したのか?
まず、SAとPAとはそもそも何か? NEXCO東日本(東日本高速道路株式会社)によれば、「ドライバーの長時間の運転や同乗者の疲れや緊張をとったり、トイレ休憩、または給油(給電)などを行うための施設」と定義している。
では、SAとPAの違いは何か? この点については「じつは明確な区別がつけにくい」という説明だ。
SAは、「人とクルマが必要としているサービスを提供できる休憩施設」としている。一般的なイメージでは、レストランやガソリンスタンドが併設されているのがSAかもしれないが、実際にはそうした付帯設備がないSAもある。
一方でPAは、人が必要としているサービスを提供することが目的。ただし、現地の状況や需要に応じてガソリンスタンドが設置されているPAも存在する。
高速道路上でのSAとPAの設置間隔は、PAが15km、SAが50kmを目処にしているものの、立地条件や需要によっては、そうなっていない場合もある。
そんなSAやPAだが、地産地消にこだわった飲食、名産品、さらには温泉、ホテル、遊園地まで完備し、高速道路の利用者以外がアクセスできるケースもある。
視点を海外に移すと、アメリカの場合、フリーウェイが多く、インターチェンジ周辺には、ホテルや飲食のチェーン店または長距離トラックドライバー向けの給油・飲食・シャワーなどの設備が充実した施設がある。高速道路上のSAは、東海岸などの有料道路の一部に存在するが、規模や内容は日本と比べると小さい。
欧州や韓国などでは、日本のSAに近い施設はあるが、日本のようなアミューズメント感覚の作りではない。東南アジアでは、一般道路に降りるようなカタチで、簡易的な飲食施設が連なっている場所もある。
いずれにしても、海外のSAやPAは、短時間の休憩をするための施設である。
それが日本の場合、長距離トラックがかなり長い時間での時間調整を行ったり、また基本的には禁止されている乗用車での車中泊に使われる場合もあるのが特徴だ。
また、テレビ番組やネット情報などを通じて、SAやPAを最終目的地として移動したり、またはSAやPAを巡ることを楽しみにする移動の仕方があるのも、日本的な発想である。