いの一番に登場したのに忘れ去られ気味!? たった1代で消えたマツダSUV軍団のファーストペンギン「CX-7」の挑戦者魂に敬礼 (2/2ページ)

ボディサイズと価格が仇となった

 エクステリアは大きく傾斜したスポーツカーばりのフロントウインドウ、スポーツカーのRX-8を彷彿させる大きく張り出したフロントフェンダーアーチやリヤでキックアップしたベルトラインなどが特徴的で、RX-8から影響を受けた雰囲気に包まれていた。足もとは18インチホイールを装備し、スポーティに引き締めていた。

 モデルラインアップは「CX-7」と「CX-7 Cruising package(クルージングパッケージ)」の2種類で、車両本体価格は306万円~366万円(消費税込)。

 安全性、利便性に優れた装備を積極的に採用したのもCX-7であり、具体的には、横滑り防止装置(DSC)、駐車支援システム(サイドモニター/バックガイドモニター)、イモビライザーやバーグラアラーム(盗難防止装置)、30GBの容量を持つHDDナビゲーション、クルーズコントロールなどを全車に標準装備していた。

 そんなCX-7の走行性能は、2.3リッターターボエンジンの大トルク、シャープな吹き上がりによって、1640(2WD)~1740(4WD)kgのボディを出足からトルキーかつ軽快に走らせる。乗り心地はスポーティで硬めだが、そのぶん、コーナーや山道ではロールが抑えられた踏ん張りの利く安定感を実現。操縦性はスポーツカーに匹敵するレベルにあり、ステアリングはスポーツカーばりにズシリと重く、しかしリニアかつ頼りがいあるタッチが身の上。

 ただ、スポーツカーとSUVを融合させた”スポーツクロスオーバーSUV”というコンセプトに相応しい乗り味ではあるものの、日本においては全幅1870mmのワイドボディもあって、当時としては万人向けとはいい難かったのも事実。

 CX-7は北米市場で一定の人気を得ていたものの、日本国内ではこのクラスで300万円以上という価格設定やワイドなサイズ、エンジンがV6ではなく直列4気筒ということもあり、販売は伸び悩み、2012年に日本国内向けの生産を1代限りで終了。2012年2月16日に発売されたSKYACTIV技術を満載した、その後、大ヒット作ともなったクロスオーバーSUVの初代CX-5に引き継がれることになったのである。

 とはいえ、今見てもスポーティでカッコイイと思わせてくれるのが、マツダのクロスオーバーSUV第1弾だったCX-7ではないだろうか。新車の販売台数が少なかったこともあり、中古車市場ではレアな存在だが、後期の2011年型でも50万円台の価格で取引されている。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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