山道に差しかかったらガソリン残量の目盛りが増えた……って得した? クルマの燃料計が坂道で増減するワケ

この記事をまとめると

■走行可能距離が残り50km前後になると燃料計の警告灯が光るのが一般的な仕様だ

■山道などの上り坂や下り坂を走っていると残量が前後することがある

■燃料計の仕組みのために発生する現象なので平坦な道を走っているときの残量から変化はない

ガソリンが増えたり減ったりする謎

 どんな高性能車でも、燃料がなければ走ることはできない。そういった意味で、クルマの燃料計の正確さはかなり重要。自動車メーカーもその重要性はよくわかっているので、表示されている残量は基本的に信用できるよう担保されている。

 なお、多くのクルマでは燃料の残量が少なくなり、無給油で走行可能な距離がおおよそ50km以下になると、エンプティランプ(燃料警告灯)が点灯する親切な設計になっている(メーカーによって多少異なる)。

 しかし、そんな信頼性の高い燃料計でも、山道を走っていると、急に表示がひとメモリ増えたり、減ったりすることがあるのはなぜだろう?

 それは、燃料タンク内の残量をアナログに計測しているからだ。

 燃料タンクの中央部には、フューエルポンプなどと一体になったセンターゲージがあり、このなかにフロート(浮き)が入っていて、それでタンク内の液面の高さを把握するのが、燃料計の一般的な仕組み。フロートは液面に浮いているセンサーなので、燃料がたっぷり入っていれば、高い位置になり、燃料が減ってくると低い位置に移動する。

 かつては機械式燃料計といって、フロートの位置を機械的にメーターに反映するタイプが主流だったが、現在はフロートの上下の動きを電気抵抗値として燃料計に送る電気式燃料計が普及している。

 この電気式燃料計は、クルマの傾きや振動の影響を受けにくいのがメリットだが、それでも急な上り坂や下り坂を走ると、燃料タンク内の液面が傾き、フロートが上下する関係で一時的に燃料が減ったり、増えたりするような表示になるのは避けられない。

 したがって、坂道と平坦な道で燃料計のメモリに多少の差が生じても、燃料計の故障ではないし、燃料の容積が急に変わったわけではないのでご安心を。

 タンク内の燃料を重量で計測したり、インジェクターからの吐出量などから計算すれば、もっと正確に燃料の残量が把握できるだろうが、コストや部品点数、重量などの面ではデメリット。

 実用的には、シンプルで省スペース、安価で故障しづらいフロートタイプの燃料計がベストな選択といえるだろう。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)
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