この記事をまとめると
■ランボルギーニのクロスカントリー4WDとなる「LM002」には数々のプロトタイプがある
■「チータ」はよく知られているが市販車「LM002」の前には「LM001」や「LMA」も存在した
■「LM002」のあとにもディーゼルエンジンなどを搭載した「LM003」や「LM004」もあった
チータはアメリカ軍への納入を計画した軍用車だった
ランボルギーニがSUVブームのなか、2018年にデリバリーを開始したSSUV(スーパースポーツSUV)の「ウルス」。このウルスが誕生したことによって、改めてクローズアップされたのがランボルギーニの歴史にその名を残すクロスカントリー4WD車の「LM002」だ。
今回はこのLM002が誕生するに至った背景とともに、その前後に開発されたプロトタイプを含めて、ランボルギーニ製クロスカントリー4WDの流れを、もう一度振り返ってみたい。
ランボルギーニがクロスカントリー4WDを開発するに至った直接の理由。それは、アメリカの軍用車両メーカー、MTI(モビリティ・テクノロジー・インターナショナル)によって基本的なコンセプトが決定されていた軍用のオフロード4WD車(高機動車)を、ランボルギーニで設計、製造して納入しようという計画にあった。
ランボルギーニによって決定されたその仕様は、基本骨格を強固なチューブラーフレームとし、サスペンションは4輪独立懸架式に。そしてリヤにクライスラー製の5.9リッターV型8気筒エンジンを3速ATと組み合わせ搭載するというものだった。
1977年のジュネーブショーで発表された、そのプロトタイプには「チータ」の車名が与えられていたが、不運なことにそれがアメリカ軍に正式採用されることはなかった。納入に成功すれば、チータはランボルギーニにこれまでとは比較にならないほどの利益を生み出したはずだが、それは幻となり、ランボルギーニに逆に大きな損失を与えてしまった。
さらに、当時のランボルギーニは、BMWとのジョイント・プロジェクトでE26、すなわちあの「M1」の生産を請け負う計画にも失敗。1970年代半ばのランボルギーニの経営状態は、このふたつのプロジェクトによって大きくマイナス方向へと傾く結果となった。