防災の日の今日確認しておきたい! 大災害時にクルマを有用な避難所にするための「事前準備」とは (1/2ページ)

この記事をまとめると

■大災害のときにクルマが無事であれば車内空間はプライベートスペースとして役に立つ

■災害時に役に立つクルマのさまざまな機能をあらためて確認

■避難所に身を寄せられないペットと暮らす家族にとっては車内避難の重要性は一段と高まる

災害時にはクルマは便利で快適な避難空間になる

 この夏、日本列島は大地震、台風、大雨に見舞われ、各地で被害が報告されている。9月1日は関東大震災から101年目の防災の日。改めて防災意識を高めている人、家庭も多いと思う。

 大災害の際、もし家にいられない状況になったとき、クルマが無事であれば、役立つのがクルマの車内空間だ。エアコンが利き、ラジオまたはTVで情報収集ができ、USBソケットで災害時の命綱ともいえるスマートフォンの充電もできる空間になるのだから心強い。

 さらに、シートのフラット化でプライバシーが守れる”マイ避難所”として機能し、お座敷化、ベッドルーム化も可能となる。

 しかし、2004年10月の新潟中越地震、2016年4月の熊本地震でも報告されたように、車内に避難したとしても過ごし方によって「エコノミー症候群」とも呼ばれる、命にかかわる血栓症を引き起こすことがあるから要注意である。

 ここでは、3.11東日本大震災で被災した筆者の経験、それ以来の防災研究から、万一、車内避難を余儀なくされたときの過ごし方、必要な防災用品について解説したい。

 まずは車内の過ごし方について。新潟中越地震、熊本地震で車内に避難し、「エコノミークラス症候群」を患った人の話を聞くと、シートに腰かけたまま長時間に渡って過ごしていたという。座ったままの状態でいるのは血栓を引き起こすため極めて危険だ。やはり、体を休めるためにも、足を伸ばした姿勢でいられることが重要となる。

 そこで、愛車がシートアレンジによってフラット化、ベッド化できるかを確認したい。ミニバンなどはそれが売りになっていて、シートアレンジをした経験のあるユーザーも多いはずだが、意外にも軽自動車でも、前後席のフラット化によって、大人がゆったりと横になれるシートアレンジが可能なこともある。

 スズキ・ハスラーを例に挙げれば、コンパクトなクロスオーバーモデルながら、前後シートのフラット化によって、なんと全長2040mm、幅1090mm(部分的)ものお座敷、ベッドスペースがアレンジできるのである。

 純正アクセサリーに「リラックスクッション」なるマットレスも用意されている(汎用)。

 そこで、初めての車内避難に向けて、自身の愛車がフラットアレンジできるか、できたとしたら実際に座り、横になって、不快な凸凹などをチェック。どうやったらより快適に過ごせ、横になれるかをあらかじめ確認し、フラットにできるように準備(マットレスや詰め物)しておきたい。

 ここで裏技をひとつ。筆者のコンパクトステーションワゴンの場合、後席を倒し、ラゲッジルームとつなげたときのフロア長(ベッド長)は1670mm。しかし、筆者の身長は172cmである。

 これでは真っすぐに横になれない……と諦めるのは早い。じつは、後席のヘッドレストを逆向き(表裏)に付けることで、ベッド長が伸び、しかもヘッドレストが枕がわりになるというアレンジが可能。やってみると、ヘッドレストの高さぶん、ベッド長が稼げ、身長172cmの筆者が足を真っすぐに伸ばして横になることができるのである。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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