たかが飲み物……ともいえない! 多様化する新車販売店の「ドリンク事情」でディーラーの立ち位置がわかる (2/2ページ)

ディーラーでも飲み物の配膳が自動化するかもしれない

 ちなみに、アメリカの新車ディーラーでは同じ建物内でも商談スペースと点検・整備を待つスペースは完全に分離しており、筆者が見てきた限りでは、飲み物専用の冷蔵庫に入った冷たいソフトドリンクを勝手に飲んだり、コーヒーマシンでコーヒーを入れて飲むのが当たり前となっている。商談のときも商談スペースに設置した冷蔵庫などから、自らもってきたりしているようだ。

 日本では飲み物を出してくれるときに、ちょっとしたお菓子などを添えて出してくれるところも多くなっているので、その対応にはバラつきが出てきており、その差は拡大傾向にあるものと見ている。

 筆者個人としては、ペットボトル飲料を渡されれば、飲み切れないときはもち帰ることができるし、自動販売機の無料開放は機械の前で「どれにしようかな」と迷う、至福の時間を過ごすことができるし、おかわり自由というのもありがたい。

 いまどきは「高級ブランド」と呼ばれる新車を扱うディーラーでも紙コップで出てくるようになった。これもコストダウンというよりは、感染予防という観点で導入しているものと考えていいだろう。

 もうちょっと深読みすれば、多様性を重んじる世の中になっているので、「女性が飲み物をもってくる」というスタイル自体を改めようという動きも、今後ディーラーにおける「飲み物事情」をさらに変えてくるかもしれない。

 ある初老の業界経験者は、「私どもが若いころは、事務処理をメインに店舗にひとりは若い女性がいましたが、まだ会社全体は日曜日が休業日(セールスマンは休日出勤扱いだった)でしたので、日曜日はいないので新人など若手セールスマン(ほぼ男性)が、手が空いているときは先輩の商談中のところへ飲み物を運んでいました。飲み物を出すついでに先輩がどのように商談を進めているのかを『盗み見』できたので、ずいぶん参考になったことを覚えています」と語ってくれた。

 いまどきの若者には響かないことかもしれないし、それを推奨すれば「●●ハラスメント」などといわれかねないが、単に飲み物を出すというだけの行為ではなく、商談スタイルを見学できるメリットもあったようだ。

 そして今後は自動化などが進み、一部ファミリーレストランで活躍している、「ネコ型配膳ロボット」の改良版が、オーダーを聞き、そしてもってきてくれるかもしれない。

 まとめると、傾向としては自販機の無料開放というものがジワジワ増えてきているように見える。費用負担という面では各ディーラーの判断となるだろうが、機器メンテナンスや飲み物の補充は専門業者が行ってくれるし、テーブルへ運ぶ手間も省くことができるという「手間いらず」という部分では、働き手不足が年々深刻になる新車販売業界において、今後も目立った動きになるのかもしれない。

 すでにファミリーレストランではドリンクバー設置が当たり前のようになっているし、その面でもディーラーに訪れるお客も抵抗なく受け入れることができる土壌ができたともいえるだろう。

 たかが飲み物、されど飲み物。商談テーブルに座り飲み物がどのように出てくるのかも、そのディーラーとの相性や置かれている状況などがなんとなく伝わってくるので、新車購入の参考にしてみてはいかがだろうか。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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