【試乗】オープンのハイブリッドでも1.5トン切り! 軽量ハイパワーなマクラーレン・アルトゥーラ・スパイダーが示す至高の走り (2/2ページ)

ライトウエイトスポーツカーを満喫できるアルトゥーラ・スパイダー

 エレクトロ・ハイドロリック・パワーアシストの制御を受けるステアリングの動きも正確で、かつ常に高い信頼感が得られる手応えを保つ。カーボンセラミックブレーキは、ゴー・ストップが続く市街地では、ややそのフィーリングに慣れるまで時間を必要としたが、ワインディングや高速道路では圧倒的な制動力に何回も感動する場面を体験することになった。

 アルミニウム製サブフレーム上に搭載されるパワーユニットは、120度のバンク角が設定される3リッターのV型6気筒ツインターボ。最高出力はこの最新のMY25(2025年モデル)では、前作からさらに20馬力向上して605馬力を発揮。レブリミットが8500rpmという高回転型のこのエンジンもまた、その重量は750Sの4リッター版V型8気筒と比較して、50kgも軽量であるという。マクラーレンがアルトゥーラのパワーユニットにV型6気筒エンジンを採用し、それに組み合わせる8速SSG(DCT)のベルハウジング内にこちらもコンパクトな設計のエレクトリックモーターを内蔵することで、システム全体で700馬力を得た技術的な選択はおおいに評価できる。

 RHTをオープンにして楽しむアルトゥーラ・スパイダーの走りは、このパワーユニットからの官能的なサウンドによる演出もあり、じつに魅力的なものだった。

 インパネの上部にレイアウトされるロータリータイプのスイッチで、パワートレインは「E」、「コンフォート」、「スポーツ」、「トラック」の4モードを、またシャシーは「コンフォート」、「スポーツ」、「トラック」の3モードを各々独立してチョイスすることができるアルトゥーラ・スパイダー。

 エレクトリックモーターのみでの走行を行うEモードでは、実効容量が7.4kWhというバッテリー・パックとの組み合わせで、最大33kmの走行を可能にする一方、スポーツやトラックといったモードでは、高速域まで面白いように一気に吹き上がるパワーユニット特性を楽しみながら、これぞ軽量スーパースポーツといった走りを、飽きることなく満喫することもできるのだ。

 その外観から想像していたエアロダイナミクスの優秀さも期待を裏切るものではなかった。アルトゥーラ・スパイダーは、0-100km/h加速を3秒フラットでこなし、最高速では330km/hを誇るモデル。100km/h程度の速度ならば、オープン時にもキャビンへの風の巻き込みは軽微なもので、パッセンジャーとの会話も十分に成立する。

 スパイダーが追加されたことで、そしてMY25でのアップデートによってさらに魅力的な存在となったマクラーレン・アルトゥーラ。それはいま、このクラスでもっとも注目されるスーパースポーツの一台といえるのかもしれない。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
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