EVが嫌いなんじゃない! 純エンジン車が好きなだけなんだ! 押し寄せるEV化の波のなかで死ぬまで「エンジン車」に乗り続ける方法を考えてみた (2/2ページ)

2050年を過ぎたらお金が解決してくれるかもしれない

作戦2)「ショボいグレード」に身体と心を慣らしていく

 いま現在でもすでに「中間グレード以上は電動パワーユニットで、純エンジンは一番安くてショボいグレードにのみ設定されている」という状況が散見されるが、今後はこの傾向がより強まるだろう。いや正確には“二極化”が進み、「純ガソリンエンジンは、趣味の対象としての『超高いグレード』と、実用の対象としての『超安いグレード』にのみ設定される」ということになっていくはずだ。

 そうなったときに「じゃ、俺は超高いのを買うわ」でOKな人はそうすればいいが、筆者を含む多くの人は、なかなかそうもいかないはず。であるならば、自分の身体と心を「安いやつ」に合うよう矯正していくほかない。ゼイタク志向をやめて「清貧こそ正義! ごはんのおかずも一品で十分!」みたいな自分に変わるのだ。そうすれば、比較的長きにわたって純エンジン車を購入し続け、そして乗り続けることができるだろう。

 筆者もいまはスバル レヴォーグの一番高いやつに乗っているが、今後はそんなゼイタクなどご法度である。一番安い「Smart Edition EX」に乗り替えるか、はたまたインプレッサの一番安い純エンジン車である「インプレッサ ST(2WD)」を選ぶなどして、自分を鍛え直したい。

作戦3)雌伏の時を経て「大富豪」へと変身する

 まずは「ショボいグレード」に身体と心を慣らしていくことがおすすめとなるわけだが、技術的なブレイクスルーが発生し、ショボいグレードにも効率的で安価なエレクトリック系パワーユニットが搭載されてしまう可能性はある。

 だが、そんな時代が到来しても、「趣味の一品」であるバカ高い純エンジン車の少量生産は続くはずだ。もはや馬で移動する意味などないのに、お金持ちや貴族はあえての乗馬をたしなむ──みたいな話である。純エンジン車は将来、現在でいう馬のようなポジションとなるのだろう。

 そして「いつでも乗れる馬を所有し、調教および飼育する」ということにはバカ高い金がかかるのと同じで、「馬的存在になった純ガソリン車」の購入と維持には、バカ高い金が必要となるはず。普通は、なかなか無理な話である。

 しかし、金さえあれば無理も通るというか、割とどうとでもなるのがこの世のなかだ。もちろん「金がすべてだ!」というのは明らかに間違った意見だが、同時に「世の中の8~9割ぐらいの問題は、じつは金で解決できる」というのも事実ではある。

 であるならば、進むべき道はひとつしかない。ショボくて安いグレードの純エンジン車で雌伏の時を過ごしている間に節約して金を貯め、そして節約と貯めるだけではたぶんラチが明かないので、投資や投機、あるいは自営ビジネスなどに励み、大富豪になるのだ。そうすれば、おそらくは命と運転能力がある限り、永遠に純ガソリン車に乗り続けることができる。

 メーカーが純ガソリン車を作らなくなったら、どこかに電話して「あ、オレだけど。悪いけどガソリン車1台、作ってくんないかな?」と依頼しよう。大富豪のあなたがいえば、たぶん特注で作ってくれる人がいるはずだ。

 そして2050年頃、仮に純ガソリン車の「走行」が完全に禁止されたとしても──世の中にはブラックマーケットというものがある。相場は知らないのだが、たぶん1回の乗車につき1億円ほど払えば、どこかの誰かが純ガソリン車と、それをこっそり走らせるための場所を手配してくれる。何かの手違いで逮捕されるかもしれないが、そのときはそのときである。


伊達軍曹 DATE GUNSO

自動車ライター

愛車
スバル・レヴォーグ STI Sport EX
趣味
絵画制作
好きな有名人
町田 康

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