トラックドライバーを守るための「430休憩」はやっぱり現場を知らないお役所仕事! 「現場のドライバー」からは非難囂々だった (2/2ページ)

ペースを乱すだけの邪魔な存在になりかねない

 プライベートで長距離を走るときでも、ドライバーは自分のタイミングで休憩を取りたいと考えるのが普通ではないだろうか。それはトラックドライバーも同じで、さらに到着時間が決められているなかで走りきらなければならないため、つねに時間に追われているのだ。たとえば、休憩なしで走れば10時間で到着できる距離を走るとする。その場合は430休憩の影響で、最短でも到着時間は11時間後ということになる。

 つまり、1時間のロスになるのだ。一般人の感覚では「10時間も休憩なしで走れるわけがない」と思うかもしれないが、トラック業界では10時間程度走ることは珍しくない。むしろ目的地までノンストップで走りきり、現地でゆっくり寝たいと考えるドライバーのほうが多いのだ。それが不必要な休憩を取ることで仮眠時間が1時間も減らされてしまうのだから、たまったものではないのである。

 重大な事故を起こしてしまうトラックがあるのは事実だが、トラックが巻き込まれたカタチの事故も、意外と多い。もちろんトラックが絡む事故は死傷者を出す可能性が高くなるため規制が強化されるのは致し方ないことだが、トラックばかりが悪者にされる世のなかにはなってほしくない。

 歩行者や自転車と乗用車における事故の場合でも、弱者救済の観点から乗用車が悪者になってしまう傾向にある。しかし、歩行者や自転車が事故を誘発しているケースは多々存在する。乗用車のドライバーであれば、その部分は十分に理解できるのではないだろうか。それと同じように、トラックも無謀な運転をする乗用車に泣かされているのである。

 トラックの規制ばかりに捉われず、“弱者救済”というある意味おかしな部分を見直すことが先決ではないだろうか。歩行者や自転車側も乗用車やトラックを信頼するのではなく、身を守るために危機感を養ってほしいと願う。もちろん、トラックドライバーはつねに自分はプロであるということを意識しなければならない。

 それだけで、防げる事故もあるはずだ。運転のテクニックはもちろんのこと、休憩するタイミングもプロであればわかるはず。それゆえに、430休憩はプロのペースを乱すだけの、邪魔な存在になりかねないのだが。そんな窮屈な環境のなかでプロとしての誇りを持ち、日夜ハンドルを握っているトラックドライバーの皆さんに、陰ながらエールを贈りたい。


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