トラックドライバーを守るための「430休憩」はやっぱり現場を知らないお役所仕事! 「現場のドライバー」からは非難囂々だった (1/2ページ)

この記事をまとめると

■物流業界に2024年度から「430休憩」が定められた

■このルールの目的は長距離ドライバーによる事故を防ぐことにある

■「430休憩」が及ぼす影響について解説する

現場では歓迎されていないのが実情

 トラックが絡む重大事故が連日報道されている、現代の日本。そのような現状を危惧し、厚生労働省が平成元年に定めたのが、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)」、いわゆる「430休憩」と呼ばれるもの。これはドライバーの連続運転に関する規則のことで、「連続運転は4時間が限度であり、運転開始後4時間以内、または4時間経過直後に運転を中断し、30分以上の休憩等を確保しなければならない」というもの。

 その休憩等には運転以外、つまり荷物の積み込み、荷下ろし、待機時間も含まれていた。その時間は1回につき10分以上であれば認められているため、必ずしも一度に30分とらなければならないというものではない。トータルして、4時間に30分以上であれば問題ないのである。

 そんな「430休憩」が2022年12月に改正され、2024年4月からは改正後の告示が適用されるようになった。その改正後の告示には、「運転の中断時には、原則として休憩を与える」とされ、休憩等から休憩に変更されている。つまり荷物の積み込みや荷下ろしなどは休憩に含まれないため、純粋に休憩時間を確保することが求められるようになったのだ。

 休憩時間の分割については「1回おおむね連続10分以上」となったのだが、10分未満の運転の中断が3回続いた場合は、3回目の中断時間はカウントされないため、10分以上の休憩を確保するのが無難だろう。また「(高速道路の)SA、PA等に駐停車できないことにより、やむを得ず4時間を超える場合、4時間30分まで延長可」という規定が新設された。

 そのような「430休憩」だが、これは法律ではないため、罰則は存在しない。しかし430休憩に違反すれば行政処分の対象となり、車両使用停止や事業停止などの処分を受ける可能性がある。悪質な場合はより重い処分である運送業の許可取消を受ける可能性もあるため、運送会社はドライバーに徹底せざるをえないというのが実情だろう。

 そんな430休憩の狙いは、もちろん長時間運転によるドライバーの疲労を原因とする重大事故を減らすため。その目的自体は立派なものだが、内容的にはどうなのだろうか。実際にトラックドライバーとして長距離運転をした経験のないお偉方が考え出した規制であるために、現場では歓迎されていないのが実情である。


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