急な割り込みは大きな事故につながる
ふたつ目は、急な割り込み。大型トラックが前を走ることを嫌う気もちは、わからないではない。しかし、左車線には路上駐車している乗用車が存在し、自転車や原付バイクなどが低速で走行している。乗用車であれば車線をまたがなくても通行できるようなケースであっても、車幅のある大型トラックは車線変更を要求される。むやみに車線変更を繰り返すと、後続車にブレーキを踏ませるような事態に発展する。それを防ぐために右車線を走ることが多いのだが、それをよしとしない乗用車のドライバーも多いだろう。
しかし、そんな大型トラックの前に割り込み、かつ信号待ちなどですぐに停車するのは自殺行為。大型トラックのドライバーは自車が止まれる速度、そして荷崩れをしないためにブレーキを調整しているのだが、乗用車が割り込むことで大きく計算が狂ってしまうのだ。ひどい場合は追突されてしまうし、急ブレーキによって荷崩れを起こしてしまうと、原因を作った乗用車のドライバーに賠償責任が生じることもある。
医療用の精密機械などを運んでいるトラックもいるため、その賠償金は数千万円にもいたる場合もあるのだ。それゆえに軽い気もちで大型トラックの前に割り込むという行為は、できるだけ避けるべきだ。それはひとえに、乗用車ドライバーの身を守るということにもつながるだろう。
3つ目は、峠道などの登り坂で速度が落ちる乗用車。非力な軽自動車や商用車であれば致し方ないが、乗用車であれば速度を落とすことなく坂道を登ることができる。しかし、速度メーターを見ておらず、自車の速度を体感的にわからないまま運転しているドライバーも多い。平坦路を50km/hで走っていたにもかかわらず、登り坂では30km/hに落ちてしまう乗用車も存在するのだ。
そのまま後ろを走ればいいじゃないかと思われてしまうが、もちろん普通ならそうしたいところ。しかし、荷物を積んだ大型トラックは、登り坂にめっぽう弱い(一旦落ちた速度を回復するのに時間がかかるから)。そのため、できるだけ速度を落としたくない。50km/hのまま走れたのなら40km/hで坂道を登りきることができる場合でも、30km/hまで落とされてしまうと追い越すこともできず、やがて速度は低下の一途をたどる。さらには急に加速された場合は、大型トラックだけが低速のまま取り残されてしまう。
そんな意地悪な乗用車はいないだろうとお思いの方も多いかもしれないが、意識するかどうかはともかくこのような運転をしている人は以外と多い。その多くは自車の速度が落ちていることにすら気づいていないのだろうが、後続のトラックからすればたまったものではない。たとえ後ろを走るのが乗用車であっても、きっとイラついてしまうだろう。それを防ぐためにも、速度メーターをマメに確認しながら運転することをお勧めする。速度を確認するために装備されているのであるし、速度計を確認するのはドライバーとしての義務でもあるのだから。
4つ目は、前述の交差点での場合。逆に必要以上に手前で停車する乗用車だ。先にも触れたが、大型トラックのドライバーは停車するまでの距離やブレーキの踏み方などを計算しながら運転している。しかし、前走する乗用車がやけに手前で停車してしまう場面に遭遇することが多いのだ。そのような人たちは、きっと自車の大きさを把握できていないのだろう。
ひどい場合は、乗用車3台分ぐらいの距離を開けて停車するケースも存在する。そのような乗用車に限って、信号が変わるまでの間にじわりじわりと前に進んだりするのが、不思議なところ。赤信号である以上進めるわけがないのに、なぜか前走車との距離を詰めてゆくのだ。その場所まで進むことができるのなら、最初からその場所で停車してほしい。そう思ってしまうのは、ハンドルを握る人間である以上当然ではないだろうか。
不必要なブレーキは、渋滞を生み出す大きな原因となる。ブレーキは連鎖するものであるため、後方に大きな影響を与えるのだ。自然渋滞のおもな原因は、速度の低下や不必要なブレーキなどが挙げられる。そのことを自覚しつつ、日々、車間距離を確保した安全運転を心がけながらハンドルを握っていただきたい。