行儀が悪いわけでも足がむくむからでもなかった! トラックドライバーが「ハンドルに足を乗せて」仮眠するのは苦肉の策だった

この記事をまとめると

■多くのトラックドライバーたちは予期せぬ待機時間に振りまわされている

■ハンドルの上に足をのせて休憩しているのをよく目にする

■その理由はトラックドライバーの労働環境にあった

ハンドルの上に足をのせるのは熟睡を避けるための策

 日本の物流を支えるために駆けまわっているたくさんのトラック。トラックドライバーは荷主から預かった大切な荷物を各地へと運び、そして汗水を流して積み下ろしという荷役作業に励んでいる。そんな彼らにとって、休息は大切な時間。しかし、なかなか熟睡できるような時間を確保できない。彼らはただ荷物を運ぶだけではなく、現場によっては待機時間にも悩まされてしまうのだ。

 何時に入ってくれと指定されたとしても、その時間どおりに荷物が積み下ろしできるというわけではない。また、早く到着すると敷地に入ることすら許されず、どこかで時間を潰さなければならない。それでいて交通渋滞などで延着してしまうと鬼の首を取ったかのように怒られてしまうという、とてもストレスのたまる仕事がトラックドライバーだ。

 もちろん現場によって対応は大きく異なるのだが、あまり恵まれた労働環境ではないというのが実情だ。それでも、多くのトラックドライバーたちは予期せぬ待機時間に振りまわされている。

 中型以上のトラックには寝台スペースが設けられているのが一般的だが、じっくりと眠れることは珍しい。その多くは荷下ろし待ちや、積み込むための荷物が仕上がるのを待つ待機時間に限られている。そのような時間は、もちろん熟睡するわけにはいかない。現場によってさまざまな形態があるのだが、多くは直接呼ばれるか、携帯電話で指示が出るのが一般的なのだ。そのため、いつでも動けるようにしておかなければならないのである。

 しかし、荷物の積み下ろしが済めば何時間もかけて目的地へと走らなければならない。待機時間が長くなればなるほど、その後の行程が厳しくなってしまう。そのため、わずかな待機時間であっても仮眠しておくことが重要となるが、寝台スペースでゆっくり休むこともできない。そのため多くのトラックドライバーはハンドルの上に足を上げ、わずかばかりの仮眠をとるのである。

 寝台スペースがあるのに、なぜそのような窮屈な体勢で仮眠をとるのか。そこが気になる人もいるかもしれないが、それは単に熟睡してしまわないための策。乗用車とは異なりハンドルが寝ているトラックであっても、足を上げることで痺れが生じてくる。そのため、自然と目が覚めやすくなるのだ。過去に大型トラックに乗っていた経験からいうと、2時間もすれば自然と目が覚めていた。そのため、わずかな休息しか取れない場合は、シートを倒してハンドルに足を上げているのだ。

 その光景を見た人からすれば、お世辞にもかっこいいとは思えないだろう。しかし、彼らはそのように自分の体を張りながら、任務を遂行しているのである。もちろん、どのような仕事であっても苦労は存在する。トラックドライバーのみを優遇して欲しいというわけではないが、世間一般の仕事よりも神経を使い、そしてハードな稼業であるのも事実。そこに2024年問題が加わっているのだから、より稼げなくなり人手不足に悩まされてしまうのは明白だ。

 図体が大きく挙動が鈍いゆえに何かと邪魔者扱いされてしまうトラックだが、走行を邪魔するのではなく、ぜひとも応援していただきたく願う所存である。


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