高速の道路工事で見かける「トラ柄トラック」は人や荷物を運ぶだけじゃない! 人を守る「盾」の役割もあった (2/2ページ)

身を挺して作業者の安全を確保している車両も

 もうひとつは運転支援装置の過信である。現在、さまざまな運転支援装置が開発されているが、完全自動運転が実用化されているわけではない。ところが、支援装置によっては少々目を離しても、安全に走行できるなどといった誤解があり、つい油断をしてしまうドライバーが散見される。

 これらのことから、規制帯への進入事故が増加したといわれているのだ。工事や点検で車線を規制する場合、パイロンを使用して徐々に規制する車線をふさいでいく。その先端部には矢板看板や警告灯(回転灯)などを置いて、視覚的に通行車両を規制していない車線に誘導するわけだ。事故は、これを見落とすことによって発生する。このとき、もしこの規制帯のなかで作業が行われていれば、それは直ちに人命にかかわる事態に陥ってしまう。

 規制に使用されるトラ柄などのトラック(作業にかかわるものを除く)には、おもに規制を知らせる電光看板を搭載した看板車と、規制用の資材を載せる資材車がある。これらの多くは中型トラックの平ボディで、概ね作業者の前方(通行車両が来る側)に配置される。これが、規制用トラ柄トラックが看板や資材などを「運ぶ」以外の、重要な任務につながっているのだ。

 それは、万が一この場所に通行車両が突っ込んできた場合、このトラックが緩衝装置になるということである。すなわち、身を挺して作業者の安全を確保しているのだ。作業者目線で動画を見ればわかるが、クルマが突っ込んでくると認識してから実際に到達する(事故が発生する)までは、約2秒程度の出来事である。よほどの俊敏さがなければ、回避することは難しい。

 こういった危険な作業現場では、トラックが人の安全を守る盾の役割も担っている。なかには、荷台後部に緩衝装置をつけている車両もあるが、それでも事故が起きればダメージは大きい。多くの場合、規制帯付近は時速50km/hの速度規制がかかっているものの、それを守っている通行車両は多くない。自身の安全のためにも規制速度を守り、「ながら運転」は絶対にやめて、規制帯には注意をしながら安全運転を心がけたいものだ。


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