この記事をまとめると
■「ロングノーズ・ショートデッキ」は鼻先が長く荷室が短いデザインのクルマを指す
■かつてのスポーツカーは乗用車のエンジンを流用して作られた故にこのような形状になった
■昔のスポーツカーはロングノーズ・ショートデッキが好まれていた
ロングノーズはスポーツカーの証
ロングノーズ・ショートデッキとは、フェラーリ12チリンドリ、BMW Z4クーペ、日産フェアレディZ、古くはロータス・セブンやトヨタ2000GTなど、伝統的なFRスポーツが理想としていたプロポーションのこと。
ロングノーズは、文字どおり”鼻先が長い”という意味。初期のスポーツカーは、乗用車のパワートレインを流用するのが定番なので、駆動方式はFRにするのがスタンダード。そこにパワフルな大排気量エンジンを載せるので、エンジンルームは大きくなり、さらに運動性能を高めるために、その大きなエンジンをなるべく後方に積もうとするので、ボンネットの長いクルマが出来上がる。
そしてショートデッキ。
デッキとは乗りものの床のことを指す。クルマの場合、キャビンより後方のトランク、荷室のことを意味している(デッキには乗車スペースを含むという説もある)。
スポーツカーは、オーバーハングが短く軽いほど運動性能が高い。そして運動性能とスタイリングのためには、実用性を犠牲にするのがスポーツカーの王道なので、キャビンの後ろはバッサリとカットしたスタイルを採用する。
その結果、リヤデッキ部は思いっきり短いカタチが求められ、ロングノーズショートデッキが出来上がるというわけだ。
かつては「FRのスポーツカーは、ウインドウシールドをホイールベースの中央にレイアウトするのが理想」と考えられていたこともあり、クラシックなスポーツカーほど、このロングノーズショートデッキが好まれてきた歴史がある。
そうした影響から、いまではロングノーズは大パワーの象徴になり、ショートデッキはアジリティ(俊敏性)を表す記号的な意味ももつようになっているようだ。