この記事をまとめると
■「軽スポーツカー」と呼べるクルマは現在コペンしか残っていない
■かつて平成ABCトリオが盛況を極めた軽2シータースポーツカーであるが3台の累計販売台数は約6.6万台にすぎない
■軽2シータースポーツカーが盛況となる時代が来ることに期待したい
軽スポーツカーはコペンしか残っていないのはなぜ?
ニッポンの国民車といえる独自のカテゴリーとして進化してきたのが軽自動車といえる。
ともすれば「チープで、小さなクルマ」というイメージで括られがちだが、軽自動車は多彩なモデルであふれている。アルトやミラのようなベーシックモデルもあれば、N-BOXやスペーシアのような電動スライドドアのミニバンのようなモデルもある。さらにいえば、ハイゼットやキャリイのようにトラックも存在している。まさにオールジャンル、自動車社会全体を凝縮しているのが軽自動車ワールドなのである。
当然ながら、そこには「スポーツカー」というジャンルもある……のだが、現在はダイハツが生産する、ダイハツとトヨタで扱うコペン(トヨタ版はGRコペンのみ)しか存在していない。
日本経済が元気だったバブル期まで遡れば、平成初期にホンダ・ビート、スズキ・カプチーノ、マツダ・オートザムAZ-1(姉妹車スズキ・キャラ)の4モデルが同時に販売されていた。軽2シータースポーツの黄金期があったことを振り返れば、軽スポーツの多様性は失われているようにも思える。
ご存じのように、1990年代前半に集中的に販売された上記のモデルは、車名の頭文字をとって「平成のABCトリオ」と呼ばれることが多い。「C」がカプチーノ(Cappuccino)に加えてキャラ(CARA)も示しているとすれば「ABCカルテット」と呼ぶべきだろうか。
いまでも中古車市場ではプレミア価格のついているABCトリオだが、その販売台数は、印象の強さに比べるとごくごくわずかだった。おおよそのイメージでいうと、ビートが3.7万台、カプチーノが2.7万台、AZ-1とキャラは合わせても0.5万台となっている。つまり、合計しても6.6万台ほどしか売れなかったのだ。