テールランプは個性の塊!
続いて、こうしたヨーロッパ製スポーツカーに対抗する、アメリカらしいスポーツカーを作ってやろう、という意気込みで開発されたシボレー・コルベットもまた、丸いテールランプが印象的なクルマです。1953年1月にニューヨークで初公開された初代コルベットは、当時のトレンドを連想させる航空機や宇宙船のような丸いテールランプを採用していました。
いつしか「丸目4灯」はコルベットの代名詞となり、世代が変わっても受け継がれていきますが、現行モデル(C8)はコルベットとして初めてミドシップレイアウトとなり、テールランプも新たな一歩を踏み出すデザインとなっています(丸型テールランプはC7で廃止)。
さて、丸いテールランプで忘れてはならないクルマといえば、日本が誇るボンドカーにして、希少なスーパースポーツカーである、トヨタ2000GT。ヤマハとの共同開発によって1967年に誕生し、このクルマで採用された4輪ディスクブレーキやラックアンドピニオン式ステアリングといった技術が、その後のトヨタ車に受け継がれていったことも有名な話です。デザインを主導したのはトヨタ社内デザイナーの野崎氏で、スケッチの段階からテールランプは丸型。
車高をできる限り低くしたロングノーズ・ショートデッキのボディは流線型を描いてリヤに向かって絞り込まれ、リヤウイングさえ排除したテールエンドに相応しい、美しい丸型となっています。
最後は、じつは軽自動車にも丸いテールランプが印象的なクルマがいくつかあります。スズキ・ラパン、ダイハツ・ムーヴラテ、ムーヴキャンバスがその代表的な存在で、いずれも独自の世界観をもつデザインにピタリとマッチしているテールランプが秀逸。
ちょっとレトロでファンタジックな一面を持つラパンにしても、カフェでほっとひと息つくようなほっこり感をイメージさせるムーヴラテにしても、どこか懐かしくポップでもある癒し系デザインのムーヴキャンバスにしても、丸型以外は考えられないほどのハマり具合です。
ムーヴラテがジブリ映画「となりのトトロ」に出てくる猫バスからインスパイアされたデザインだというのは知られていますが、実際の猫バスは後ろに尻尾があり、テールランプらしきものは付いていません。でも、もしつけるならきっと猫バスのテールランプも丸いのだろうなと思わせるくらい、ムーヴラテに似合っていますね。
ということで、時代を問わず、車種を問わず、多くのクルマに採用されて印象的な後ろ姿を作っている丸いテールランプ。同じ丸でも、そのひとつひとつがすべて異なるデザインというのがすごいところです。