シンプル路線の「最近のホンダ車」デザインはちょっと物足りない! 黄金時代のような「個性ありき」のシンプルさがほしい (1/2ページ)

この記事をまとめると

■1世代前のホンダ車は過剰なラインや派手なディテールが目立った

■最近の新車ではシンプルな路線にシフトしている

■シンプルなデザインは評価されている一方で「どれも同じに見える」という弊害が出ている

シンプルイズベスト? ホンダのデザインを検証

 最近のホンダ車はシンプルでクリーンなスタイリングを展開していますが、新型N-BOXやステップワゴンの販売状況がイマイチなのは、そのシンプルなデザインが原因だ、といった声が聞かれます。果たしてそれはホントなのでしょうか? 今回はあらためて最近のホンダデザインを検証してみたいと思います。

●大きく舵を切ったシンプル&クリーンデザイン

 恐らくですが、最近のホンダデザインのシンプル指向は従前への反動がその理由と思われます。1世代前のホンダ車は、過剰なラインや派手なディテールなどにより、かなり煩雑なスタイリングでした。もちろん、そこにはホンダらしい「元気さ」「快活さ」を表現する意図があったワケですが、いささか表面的に過ぎたかと……。

 そこで、より本質的なスタイリングへ舵を切ったのが現在のホンダデザインなのです。

 コンパクトなボディで、視界のよさと居住性の高さを最大限に表現したフィット。初代の「箱」イメージを現代風に再解釈、面の美しさを打ち出したステップワゴン。初代の道具感、2代目の乗用車感に続き、身近な雑貨感を打ち出したN-BOX。新しいHVの滑らかな走りや使い勝手のよさを素直に表現したフリード。

 こうした志の高いデザイン開発については筆者も賛同しており、今後も期待大。ただ、「最近のシンプルデザインは退屈だ」「販売不振の原因はデザインでは?」という声にも一定の理解はできるのです。それは一体どういうことなのでしょうか?

●新しさと個性にあふれていたホンダデザイン

 わかりやすいのは、ホンダデザインの黄金期と呼ばれた80~90年代を振り返ってみることでしょう。

 初代のトゥデイやシティ、ワンダーシビック(3代目)、リトラクタブルランプのクイント・インテグラにアコード、そしてビート。もはや解説不要ですが、どのクルマも圧倒的な個性と独創性、そして強いキャラクターを持った名車たちです。で、肝心なのは、どれも余計な線や飾りのないシンプル&クリーンなデザインだったことです。

 つまり、シンプルなデザイン自体が目的なのではなく、いかに新しくて個性的なクルマを作り出すかが最初にあって、それをシンプルにまとめることは当然のことだったのです。そこに現在のホンダ車との違いがあるのではないでしょうか。


すぎもと たかよし SUGIMOTO TAKAYOSHI

サラリーマン自動車ライター

愛車
いすゞFFジェミニ4ドア・イルムシャー(1986年式)
趣味
オヤジバンド(ドラムやってます)/音楽鑑賞(ジャズ・フュージョンなど) /カフェ巡り/ドライブ
好きな有名人
筒井康隆 /三谷幸喜/永六輔/渡辺貞夫/矢野顕子/上原ひろみ

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