灼熱の真夏に「空冷旧車」は走れるの? オーナーが語る「苦労の連続」 (2/2ページ)

空冷ならではの熱との付き合い方

1段上のギヤで走る

 順調に走行していても油断(?)はできない。信号スタートなどの加速時は仕方ないとして、できるだけ高いギヤを使って巡航モードで走行し、エンジンの回転数および発熱を抑える。この時期は高回転までエンジンをまわす回数を抑え、どちらかというと淡々と、定期的にエンジンオイルを攪拌(かくはん)させるイメージで乗っている。

シフトアップしているイメージ

エンジンフードを浮かせる

 エンジンフード、いわゆる「鍋のフタ」と同じです。可能であれば、走行中でもエンジンフードのロックを外して少し浮かせたい。さすればエンジン本体から大量に発せられる熱を外に逃がせる効果が期待できる。そういえば「ルパン三世 カリオストロの城」の序盤のカーチェイスのシーンでも、ルパンと銭形が乗るフィアット500が、爆走中はリヤのエンジンフードが全開にしていた。

空冷式ポルシェのエンジンを冷却しているイメージ

早朝や夜間に乗る

 猛暑の時期、もっとも現実的かつ空冷エンジン車にとって優しいのは「早朝や夜間に乗ること」だと思う。深夜でも熱帯夜という地域がまだまだあるが、それでも35度以上、下手をすれば40度近い猛暑の日中に比べればはるかにマシ。ただ、空冷エンジン特有の「ガサガサ・バタバタ」という音が意外と周囲に響くため、ご近所迷惑になる可能性も考えられる。

まとめ:いずれにしても一定の「ケア」や「労り」が必要

 一般的に、中年は30歳から45歳まで、それ以上は「初老」だといわれている。ただ「人生100年時代」といわれる現代の感覚からすると、もう少し初老の時期を引き上げてもいいように感じる。たしかに人生の中〜後半戦は「老い」との戦い、そして折り合いの日々ではあるのだが……。

 生身と機械という差があるにせよ、半世紀以上前に作られたクルマでも立派な(?)旧車だ。人もクルマも「老い」には抗えない。当然ながら一定の「ケア」や「労り」が必要となる。とどのつまり「無理は禁物」ということだろうか。


松村 透 MATSUMURA TOHRU

エディター/ライター/ディレクター/プランナー

愛車
1970年式ポルシェ911S(通称プラレール号)/2016年式フォルクスワーゲン トゥーラン
趣味
公私ともにクルマ漬けです
好きな有名人
藤沢武生

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