この記事をまとめると
■三重県松坂市では救急車の搬送で入院にならなかった場合に「選定療養費」が請求される
■インドネシアでも救急車は有料だが走行距離や救急車のスペックで料金が変動する
■日本でも救急車が有料化されるのであれば保険適用としてほしい
インドネシアでは救急車もビジネスになっている
日本においても救急車の有料化が活発に議論されるようになった。タクシー代わりに気軽に病院へ行くために呼ぶ人があとを絶たないなど、一部利用者のモラルの低下が背景にあるようだ。また、増え続けるインバウンド(訪日外国人観光客)が、人口の少ない市町村へ多数が押し寄せるなか、そのような地域でのインバウンドの急病人への救急対応も増えたためといったこともあるようだ。
そんななか三重県松阪市では、6月1日より病院へ救急搬送しても入院とならなければ、7700円(税込み)が「選定療養費」として請求されることとなった。
諸外国では救急車の出動に関しては有料とするところも多く、民間企業が参入しているところも多い。先日訪れたインドネシアでも、救急車の利用は公共の車両のほか民間企業のものもあるが、どちらも有料になっているとのこと。情報によると、私立病院はたいてい自分たちで救急車をもっており、病院へ直接救急車を要請したほうが早く到着することが多いようだった。ただし、「一部の業者では車体に広告をラッピングするなどして広告収入で運営することで無料対応しているところもあります」とは事情通。
ちなみに日本では救急車を呼ぶときは「119番」へ電話するのだが、インドネシアでは「118番もしくは119番」になるとのこと。なお、仮に短期滞在、つまり観光旅行などでインドネシアを訪れた際でも、旅行傷害保険に加入していれば、その保険で利用料がカバーされることもあるようだ。
また、料金についてはタクシーと同じように基本料金があり、あとは走行距離に応じて加算されていくとのことであった。また、救急車のスペック(搭載される医療器具など)で料金も異なってくるとのことであった。
写真はインドネシアの首都ジャカルタにある、「ジャカルタ・コタ駅」という大きな鉄道駅のそばで停まっていたインドネシアの救急車。日本ではトヨタ・ハイエースか日産キャラバンぐらいの車両の違いしかないが、インドネシアではもう少しラインアップには幅があるように見えた。なお、救急車の横腹に電話番号が書いてあったので、そこの業者へ電話すればダイレクトに配車してくれるのかもしれない。
ジャカルタ・コタ駅を訪れたときは日曜日のお昼近く。駅の近くには16世紀前半に造られたという、ジャカルタでは数少ない観光スポットともいえるファタヒラ広場があり、ちょうどイベントが行われ、大勢の人でにぎわっていた。
日本ほどの酷暑ではないもののかなり暑い日となっており、会場を訪れた市民のなかで具合が悪くなった人を病院へ搬送しようと待機しているようだった。しかし、有料で複数の業者が存在するとなると、日本のように完全な善意のなか待機しているわけでもなさそうだ。「イベントで人が多いから利用者が見込める」として「客待ち」をしているタクシーのようなノリのほうが近いのかなぁとも考えながらそばを通った。
日本では働き手不足といった現状などの諸事情を踏まえると、救急車の一部有料化もやむを得ないのかもしれないが、それならばぜひ保険適用という措置を取ってほしいと感じた。