V8+3モーターのランボルギーニ「テメラリオ」が堂々降臨! EV走行モードも備えた920馬力の新時代ランボの中身とは (2/2ページ)

テメラリオにはサーキット走行に特化した軽量化パックを用意

 一方インテリアにおいても、このエクステリアデザインのグラフィックコンセプトが受け継がれていることは簡単に理解できるところだろう。低いシートポジションやスリムで軽量なダッシュボード、そしてステアリングホイールの完璧な傾きは、ドライバーに最上級のドライビングファン=走る歓びを提供してくれるほか、キャビンで使用される最高品質の素材は高級感を高め、ドライバーとパッセンジャーにより快適でエレガントなドライブ体験を演出してくれるのは間違いない。

 ちなみにこのテメラリオの基本骨格となるのはアルミニウム製のスペースフレームだが、そのデザインが完全に見直されたことにより、室内空間もウラカン比でヘッドルームが34mm、レッグルームも46mm拡大した。フロントフード下のラゲッジルームには飛行機内持ち込み可能サイズのスーツケースが2個収納できる112リットルの容量が用意されるほか、シート背後にも日用品を収納できるスペースが生み出されている。

 ミッドに搭載されるクロスプレーン型のV型8気筒ツインターボエンジンの排気量は4リッター。最高出力は800馬力を9000~9750rpmで発揮する高回転型で、レブリミットはじつに10000rpm。ターボの最大過給圧は2.5バールだ。これに3基のエレクトリックモーターを組み合わせるのは前で触れたとおりだが、実際にはそのうち1基はV8エンジンと、それに組み合わされるデュアルクラッチ式の8速ギヤボックスの間にレイアウト。ギヤチェンジを経てもレスポンスを一貫させるトルク・ギャップ・フィラーとしての機能ももち合わせる。サウンドへの強いこだわりも、このV型8気筒ユニットでは見逃せないポイントだ。

 残りの2基のエレクトリックモーターは、左右それぞれのフロントアクスルに組み合わされ、前輪を駆動する役割を担う。これらのモーターによるサポートを受けたシステム全体の最高出力は920馬力。12気筒モデルのレヴエルトが1015馬力の最高出力であるから、乾燥重量の差(レヴエルトは1772kg、テメラリオは1690kg)や、テメラリオのコンパクトなボディサイズ(全長×全幅×全高で4706×1996×1201mm)を考えれば、両車の運動性能、そしてスーパースポーツとしての刺激は、あるいはかなり近い水準にあるのではと想像することも可能だろう。

 エレクトリックモーターが前輪の駆動を担うため、テメラリオは基本的には4WDの駆動方式をもつことになるが、ゼロエミッション走行を可能にする「チッタ」モードで、かつハイブリッドモードを選択するとエンジンはスタートしないため、モーター駆動のみによるFWD走行が実現することになる。

 ランボルギーニはほかに「ストラーダ」、「スポルト」、「コルサ」、「コルサ・プラス」の各走行モードをテメラリオに設定。バッテリーの充電モードには「リチャージ、ハイブリッド、パフォーマンス」の3つが用意されているが、これと走行モードの組み合わせによって、ドライバーはテメラリオの走りの変化を、敏感に自身の身体で感じることができるという。

 参考までにタイヤはブリヂストン製のポテンザ・スポーツで、サイズはフロントが255/35ZR20、リヤが325/30ZR21の設定となる。

 テメラリオに搭載されるバッテリーパックは、長さが1550mm、幅と高さはそれぞれ301mm、240mmというもので、総容量は3.8kWh。走行中の回生ブレーキやV型8気筒エンジンからの充電のほか、家庭用電源などから最速30分でゼロから満充電までを可能にするのも特長だ。

 装備面ではほかに、新しいヒューマン・マシン・インターフェイスであるパイロットインタラクションの採用や、助手席側にスリムな情報ディスプレイがレイアウトされたことなども見逃せないところ。インストゥルメントパネルもデザインが一新され、より視認性の高い機能的なものに。テレメトリーによりサーキットでのパフォーマンスを記録して走りを改善できるランボルギーニ・ビジョンユニット(LAVU)が搭載されたことも、サーキット走行を楽しむ機会の多いカスタマーには歓迎すべきポイントだろう。

 そして、このようなカスタマーにもうひとつ気になる存在といえるのが、今回ランボルギーニが初めて設定した、よりサーキット走行にフォーカスした仕様となる、「アレジェリータ(軽量化)パック」。ボディコンポーネントだけで12.65kg、ほかに軽量インテリアエレメントやカーボンリム、チタン製のエグゾーストシステムなどを組み合わせれば、車重はスタンダードなテメラリオ比で25kg以上に達するという。エアロダイナミクスがさらに改善されるのも、このモデルの大きな魅力である。

 テメラリオの誕生で、コル・タウリ戦略下でのひとつの節目を迎えたランボルギーニ。続く第4のモデルの誕生、そして完全ゼロエミッション車の登場と、ステファン・ヴィンケルマン率いるランボルギーニからは、これからもまだまだ多くのトピックスが発信されそうだ。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
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