この記事をまとめると
■教習所に設けられるコースの幅や大きさは道路交通法施行規則によって決められている
■S字・クランク・方向変換などは免許の種類に応じてコースの基準が異なる
■基準値を満たせば法律に明記された数値でなくても指定自動車教習所に指定される
指定自動車教習所の運転コースは道交法によって定められている
運転免許を取得する際に通う教習所では、さまざまなコースを通って基本となる運転技術を習得します。また、S字やクランク、坂道発進など、課題となっているコースをクリアしなければ、教程を進めることができません。では、日本全国どこでも運転できる運転免許を取得する際に通う教習所のコースは、日本全国どこでも同じなのでしょうか。今回は、教習所のコースの基準について解説します。
教習所(指定自動車教習所)には3つの基準がある
運転免許を取得する際に通う教習所を選ぶとき、免許センターでの技能試験が免除となる「指定自動車教習所」に通う方が多いのではないでしょうか。この指定自動車教習所(以下、教習所)は、3つの基準に適合していなければなりません。その基準とは次のとおりです。
1)人的基準:資格のある指導員等が配置されていること
2)物的基準:運転技術を習得するクルマやコース、交通法規等を勉強する教室があること
3)運営基準:その他教習の内容等が道路交通法令の定める基準に適合していること
細かな解説は省略しますが、この3つの基準のうち「物的基準」がコースに関係する基準となります。
教習所のコースに関する基準とは?
教習所のコースの基準は、道路交通法施行規則に定められています。条文には、別表にてコースの基準を示すと明記されており、別表に図解とともに教習所のコースが細かく明記されています。
基準として定められているコースは、周回、幹線、坂道、屈折(クランク)、曲線(S字)、方向変換などです。また、四輪車だけでなく、二輪車のコースについても細かく定められています。
さらに、幅や長さなど免許の種類ごとに寸法が異なるコースがあるため、免許の種類に応じてコースの基準が書かれています。免許の種類ごとに異なるコースは、S字・クランク・方向変換などです。免許の種類によって異なる部分は、幅や出入り口の長さ、半径、弧の長さなどとなっています。
この法律に定められている細かな基準をすべて満たしていなければ、指定自動車教習所として指定を受けることができません。そのため、全国にある指定自動車教習所は、法律で定められているコースの基準を満たしているということになります。
違うように見えて「基準」は同じ教習所のコース
教習所のコースは、違うように見えることがあるものの、「基準」は同じです。つまり、「基準」さえ満たしていれば指定を受けることができるということです。
教習所のコースに関する基準を細かく見てみると、「◯◯以上」や「◯◯以下」という表記を見つけることができます。このような表現が使われているということは、基準値さえ満たしていれば、法律に明記されている数字ピッタリでなくても指定自動車教習所のコースとして認められるということです。
そのため、教習所のコースの「基準」は同じでも、教習所によって形状や難易度がわずかに異なる場合があるといえるでしょう。