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どの車種もどこでも買える販売チャンネルの統合は一見メリットだらけ……だがマイナス面もある! じつは車種と販売店の「リストラ」も目的のひとつだった (1/2ページ)

どの車種もどこでも買える販売チャンネルの統合は一見メリットだらけ……だがマイナス面もある! じつは車種と販売店の「リストラ」も目的のひとつだった

この記事をまとめると

■かつての新車ディーラーでは販売されている車種はディーラーごとに異なっていた

■トヨタ以外は2010年までに全店で全車種が購入できるような体制に移行した

■もともと持ってたチャンネル特有の得意な車種というのはいまだに存在している

販売チャンネルが統合されたワケ

 以前の新車の販売会社には複数の系列があり、取り扱い車種も区分されていた。日産であれば、ブルーバードなどを扱う日産店、セドリックなどのモーター店、サニーなどを売るサニー店、スカイラインなどのプリンス店などがあった。ホンダはアコードなどを扱うクリオ店、シビックなどのプリモ店、インテグラなどのベルノ店という具合だ。

 マツダは1990年前後に、アンフィニ店、ユーノス店、オートザム店をそろえ、従来のマツダ店とオートラマ店(フォードブランド)を含めると5系列を築いた。たとえばロードスターは、以前はユーノス店の取り扱い車種でユーノスロードスターと呼ばれた。三菱にも三菱店(ギャラン店)とカープラザ店があり、それぞれの系列で取り扱い車種が異なっていた。ひとつの系列で扱える車種の数は限られるが、系列を増やせば、多彩なクルマを販売できて売れ行きも伸ばせるからだ。

 しかし、トヨタを除く上記メーカーは、いずれも2010年までに系列を撤廃した。クルマの売れ行きが下がり、販売系列を維持するのが困難になったからだ。国内新車販売台数は、1990年の778万台をピークに下がり続け、2000年には23%減って596万台になっていた。この後、2010年は496万台、2020年はコロナ禍の影響も受けて460万台まで下がっている。

 2020年の国内販売台数は、1990年の59%だから、車種の数も減らされる。そうなると、複数の販売系列があれば堅調に売れるクルマを持てない販売店も生まれてしまう。

 たとえばホンダの場合、2023年にはN-BOXが国内で売られたホンダ車の約40%を占めた。2024年の1〜7月はN-BOX比率が約30%に下がったが、そこにコンパクトなフリード/ヴェゼル/WR-V/フィットも加えると、ホンダの国内販売台数の70%に達する。

 日産も同様だ。圧倒的な売れ筋になるノート/ノートオーラ/セレナ/ルークスを合計すると、国内で販売される日産車の60%近くを占める。これでは複数の系列は成り立たない。たとえば仮にホンダ・アコード/ステップワゴン/オデッセイなどを扱うクリオ店があっても、販売総数に占める割合は、合計しても30%以下に留まるからだ。

 各メーカーともに売れ行きが下がり、系列を撤廃して全店が全車を扱う体制に移行すると、新たに取り扱いを開始した売れ筋の商品を中心に販売する。そうなると、販売格差がさらに広がり、不人気車は廃止される。つまり、全店が全車を扱う体制に移行すると、メーカーを問わず人気車と不人気車の違いが明らかになり、結果的に車種が減って販売総数も下がるのだ。

「全店が全車を扱えば、どこの店舗でも自由に買えるから便利」という話も聞くが、これは詭弁だ。系列化がないほうが便利だといったら、それを築いた先人達に叱られる。

 また、系列化があれば、立地条件の悪い販売店でも取り扱い車種を買いに遠方から顧客が訪れる。しかし、全店が全車を扱うと、その必要もなくなる。車種だけでなく、販売店の業績にも格差が広がり、残すべき店舗が浮き彫りになる。全店が全車を扱う狙いもそこにあり、要は車種と販売店のリストラも目的に含まれている。

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