この記事をまとめると
■1980~90年代に作られたトヨタ車は「80点主義」といわれていた
■北米スタジオのCALTYなどは挑戦的なデザインを多く取り入れていた
■「80点主義」のころにデザインされた名車を振り返る
トヨタが手掛けた珠玉のデザインたち
プリウス、ランドクルーザー250、シエンタなど、最近のトヨタ車のデザインにはハズレがなく、どれもスタイリッシュであることが注目されています。ただ、じつは「80点主義」と言われた80~90年代にもグッドデザインはしっかり存在しました。今回はそんなトヨタ車5台を年代順に選んでみました。
●バブル景気を反映したスタイリッシュクーペ
まず最初に取り上げるのは、4代目セリカです。従前の後輪駆動からFFへ転身、カリーナEDなどとプラットフォームを共有して1985年に登場しました。
当時のホンダ車にも似たリトラクタブルランプからリヤに向けて滑らかに伸びるボディは「流面形」と呼ばれ、当時としては秀逸な空気抵抗係数0.31を実現。曲面というより、水の流れのような面はじつに独特で、シャープなキャラクターラインがボディにキレを与えています。
いまやブラックアウトしたリヤピラーは珍しくありませんが、この流麗なボディにはピッタリかつ効果的で、ある種の近未来感を生んでいます。バブル景気に乗ったトレンディな映画で使われたことがヒットの要因のようにいわれますが、いやいやこのグッドデザインは本物なのです。
●理想を追求した孤高かつ革新的ミニバン
2台目は、1990年登場の初代エスティマとします。北米でのミニバン市場が確立するなか、エンジンを傾けることで実現した低床を最大限に発揮、革新的なミドシップレイアウトで登場した「天才タマゴ」です。
文字通り「Egg on the Box」をコンセプトに、北米スタジオのCALTYが手掛けたボディは独自の球面スタイル。強い曲率をもつリヤピラーは高い凝縮感を生み、ワンモーションフォルムを際立たせます。また、低い位置に置かれた前後ランプはさらなる低重心感も。
一方、サイド面の大型樹脂プロテクターはボディを二分して強いアクセントになっているだけでなく、ボディ色とのツートンカラーが独自の質感を演出。単なる近未来感だけじゃないところが肝でした。