この記事をまとめると
■日本政府は2050年カーボンニュートラルを国際公約として掲げている
■日産は「気候変動」「資源依存」「大気品質と水」の3つをNGP2030のテーマに掲げた
■計画が実現するとモビリティの在り方が大幅に変化する可能性がある
日産が新たな取り組みへ向けて動き出した
一部の自動車ファンにおいては、未来永劫にわたり化石燃料を消費することを是とするような発言もみられるが、自動車メーカーにおいては、環境問題を無視した姿勢は許されないというのが現代の趨勢といえる。サステナビリティ(持続可能)なビジネスモデルであることが求められているのだ。
たとえば日本政府は、2050年カーボンニュートラル(実質的なCO2排出ゼロ)を国際公約として掲げている。目標レベルやスケジュール感に多少の違いはあれど、地球温暖化・気候変動対策として、CO2排出量減が必要というのは世界的なコンセンサスだろう。当然、自動車メーカーもゼロエミッション車の普及に向けたロードマップを描くことが、サステナビリティにおいて求められている。
日産自動車(以下、日産)が初めて発行した「統合報告書」は、まさにサステナビリティを中核に据えた日産のビジネスとその進捗を紹介するものとして注目だ。視点を変えれば、この統合報告書は日産がこれから生み出す価値がどんなものになるのかを示しているともいえる。
はたして、日産の描くサステナブルな未来の日産車とはどんな姿をしているのだろうか。
そのあたりを考察するには、同じタイミングで策定されたふたつのプログラム(行動計画)のうち、環境対応を示す「ニッサン・グリーンプログラム 2030(NGP2030)」に注目したい。
第5世代となるNGP2030の主なテーマは、「気候変動」「資源依存」「大気品質と水」の3つとなっている。気候変動対応について日産は、EV(電気自動車)を軸としたゼロエミッション車で対応するというアプローチをとっていることはご存じのとおり。