カスタム車を売る「光岡自動車」はなぜトヨタやホンダと同じ自動車メーカー? 「自動車メーカー」の基準はドコにあるのか (2/2ページ)

型式指定に関する不正はメーカーと国にそれぞれ問題がある

 型式認定制度を通じ、型式指定を受けることは、自動車メーカーの根幹となることである。それにもかかわらず、昨今、国内の6社(トヨタ、ダイハツ、ホンダ、マツダ、スズキ、ヤマハ)が型式指定の取り消し処分を受ける不祥事を起こした。

 安全に問題はなく、所有者は使い続けて差し支えないという。だが、法令違反を犯したことに間違いない。自動車メーカーとしての根幹を、自ら手放す行為に手を染めたのだ。

 いっぽうで、国の基準の在り方にも課題があるとの声がある。それであるなら、是正する努力をするのが、自動車業界を代表する団体である自動車工業会のひとつの責務ではないだろうか。

 かつて、官民の贈収賄事件などが明るみに出て、管轄官庁と民間企業の交流が途絶えがちになっている。かといって最新技術の情報や現状を、管轄官庁が把握できていない事態も問題だ。役所からの問い合わせに対し、企業秘密の観点から情報を提供しない姿勢も見受けられるようだ。

 互いの意思疎通の欠如が、今回の不祥事の背景としてひとつ考えられる。しかし、いずれにしても法令違反に弁解の余地はない。

 型式指定が取り消されれば、自動車メーカーとしての存続が危ぶまれるのである。クルマは、住宅の次に高価な商品といわれてきた。その価格的価値に対する消費者への責任感が、経営者と現場の双方に薄れていたのではないか。販売を再開する前に、自らを省みる姿を、ときをかけて具体的に世に見せるべきだろう。それが、自動車メーカーとしての第一歩になる。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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