折り畳める3列目シートがあれば問題も解決
ちなみにJPNタクシーのラゲッジスペースは、「クラウン・コンフォート(セダン型タクシー)+α」程度の容量しかない。2~3人のインバウンドが、都心から成田空港までを結んでいるスカイライナーの東京側発着駅となる京成上野駅に乗りつけたときのJPNタクシーを見ると、所せましと荷物が満載されているのをよく見かける。
話をトランスムーバーに戻すと、タクシーを呼んだときに「5人乗りますよ」とボディランゲージで伝えると、運転士が運転席から降りてきて3列目シートを出してくれた。ボディサイズが小さいので、3列目はあくまでエマージェンシー的な扱いとはなるが、こういうときはありがたい。
ならばノア&ヴォクシーのようなスタイルの本格ミニバンタクシーにすればいいのかと思えば、そこまで日常ユースで多人数乗車するケースは少ないので、インドネシアのトランスムーバーくらいの車両、つまりトヨタ・シエンタやホンダ・フリードあたりのクルマが調度よいのではと思う。
そこで提案したいのが、JPNタクシーのロングホイールベース版「JPNタクシー L」の設定である。基本的には日本でもタクシーは少人数乗車が当たり前なので、実際に使用する事業者に標準ホイールベースかロングホイールベースかの選択肢を与えるというもの。
ただし、そこまで多様化するほどタクシー車両(とくに法人タクシー)のニーズはないので、モデルチェンジを行った際に、安全運転支援デバイスの充実とともにホイールベースを延長して折り畳み式の3列シートを持たせてはどうだろうか。
※写真は3列目シートを折りたたんだ状態のトヨタ・シエンタ
インドネシアのトランスムーバのように通常は3列目シートを折りたたんでおけば、インバウンド(少人数乗車のとき)の大きくてたくさんある手荷物もガンガン積むことができる。インバウンドは、都内に限らずお土産などの買い物もよく行っており、大きな荷物を抱えている光景もよく目にするので、単に多人数乗車できるだけではなく、荷物も積めるようになっていたほうが、よりおもてなし度が高まるといえよう。
多人数乗車できるというよりは、ラゲッジスペースの拡大ということに主眼をおいてロングホイールベース化させれば、ユニバーサルデザインタクシーとしての使い勝手もよくなりそうなので、タクシーとしての利便性はさらに向上するのではないだろうか。