スーパーGTの予選方式変更でファンにはわかりづらい? 監督&ドライバーに新方式への意見を直撃した (2/2ページ)

同条件での戦いによりファンが楽しめるならそれが一番

 また、GT300クラスに61号車「SUBARU BRZ R&D SPORT」を投入するR&D SPORTの総監督、小澤正弘氏は、今年の新方式について「1セットのタイヤで、2名のドライバーがアベレージでどれだけ速く走れるか……ということを考えなければならなくなったので難しくなりました。私たちが使用するダンロップタイヤのアタック時のピークは高いんですけど、それをQ1で使い切っちゃうので、タイヤの落ち分を考慮したQ2のセットアップも考えなければいけない。ドライバーの好みも違うので、どういった組み合わせでいくのか、それが難しいですね」とのこと。

 さらに、「Q1では1発でタイムを出さないといけないので、これまでのノックアウト方式と同様にドライバーにとってはプレッシャーがあると思います」と小澤総監督はメンタル面の影響を付け加える。

 ちなみに、R&D SPORTで61号車「SUBARU BRZ R&D SPORT」のステアリングを握っている山内英輝選手は、「予選方式は変わりましたが、Q1でもQ2でも与えられた状況のなか、一発でタイムを出せなければならないですからね。ドライバーとしてのアプローチは大きく変わらないと思います」と語る。

 このように、2024年の予選方式の変更についてチーム関係者の受け止め方はさまざまだが、8月3〜4日、富士スピードウェイで開催されたスーパーGT第4戦「FUJI GT500km Race」では、サポートレースでオイル漏れが発生したことからイレギュラー的にGT300クラスの予選方式が変更された。GT300クラスは前述のとおり、ふたつのグループにわけて予選を走行するが、走行順により路面状況の変化が大きいと競技団が判断したことから、ウエット宣言時の予選方式を採用。具体的には合算タイムではなく、予選Q1によるグループわけを行ったうえで、Q2のタイムによって予選順位が決定されることになったのである。

 この結果、K2 R&D LEON RACINGの65号車「LEON PYRAMID AMG」がQ2でトップタイムをマークし、ポールポジションを獲得したのだが、個人的にはこのシステムはシンプルでわかりやすかった。

 とはいえ、スーパーGTを運営するGTAは第5戦の鈴鹿より、再び予選方式を変更することを発表した。

 GT500クラス、GT300クラスともにタイム合算方式は継続されるものの、予選でのタイヤの1セット制限を撤廃。さらにGT300クラスではQ1の組みわけが廃止されたほか、Q2の組みわけは継続されるものの、Upper14とLower15という形にわけられて、タイム争いが展開されることになったのである。

 この予選方式の変更で、両クラスともにQ1、Q2でそれぞれニュータイヤでのアタックが可能になり、ピュアなスピード対決が展開されることになる。

 さらに、GT300クラスではQ1での組みわけがなくなったことで、いかにクリアラップをつくるかが難しくなった反面、全チームがイコールコンディションでタイム争いが展開されることになった。

「2024年は予選システムが変更されましたが、いろいろとトライしていることはいいと思います。チームとしてはイコールコンディションで戦えればいいですけど、一番重要なことはファンが面白いと思えること。予選システムの変更がどのような影響を与えるのか、それを含めてお客さんにも見てもらいたいですね」と語るのはTGR TEAM au TOM’Sの伊藤監督だ。

 その言葉どおり、2024年のスーパーGTは30周年のメモリアルイヤーであり、この度重なる予選システムの変更も新しい時代に向けて、試行錯誤を行なっているのである。


廣本 泉 HIROMOTO IZUMI

JMS(日本モータースポーツ記者会)会員

愛車
スバル・フォレスター
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登山
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