この記事をまとめると
■2015年にスズキが掲げた「SUZUKI NEXT 100」という計画で誕生したのがイグニスだ
■コンパクトSUVというキャラクターで実用性とデザインを重視した仕立てだった
■価格が高かったこともあり販売面では苦戦を強いられた
惜しくも販売が終わったイグニスとは
スズキは軽自動車が中心のメーカーとされるが、このカテゴリーは薄利多売だ。販売台数を増やして量産効果を高める必要がある。しかも近年では、ホンダや日産も軽自動車市場に積極的で、競争も激しくなってきた。
そこでスズキは、2015年に発表した経営計画の「SUZUKI NEXT 100」において、小型/普通車の国内年間販売台数を10万台以上に引き上げる目標を掲げた。この一環として2015年に導入されたのがイグニスだ。2024年に廃止されたが、改めてこのクルマを振り返りたい。
イグニスは「新ジャンルのコンパクトクロスオーバー」としてデビューした。ボディ形状はSUVに含まれるが、機能的にはコンパクトカーに近い。全長は3700mm、全幅は1660mmとコンパクトだが、全高は1595mmと少し高い。仮にイグニスが日本市場の販売を優先させたら、立体駐車場の利用性を考えて、全高を1550mm以下に抑えただろう。イグニスは欧州やインドでの販売が重視され、天井を高めに設定した。
ボディはコンパクトだが外観は個性的だ。とくに後ろ姿に特徴があり、フェンダーがワイドに張り出して、上に向けて絞り込む台形の外観デザインを採用する。外観は見た人によって好みがわかれるため、売れ行きを下げる原因にもなり得るが、遠方から見てもイグニスとわかる。
全長が短く、最小回転半径も4.7mだから、狭い街なかや駐車場でも運転しやすい。注意したいのは斜め後方の視界で、サイドウインドウの下端を後ろに向けてもち上げたから少々見にくい。