タイが飽和状態になりインドネシア獲りに押し寄せる中国メーカー! それでもBEV化を急がない「日本車の優位」が揺るがない理由とは (2/2ページ)

BEVだけではインドネシアで生き残ることができない?

 さらに、インドネシアならではともいえる動きとしては、「中国系ブランドの多くがBEV一辺倒というわけでもなく、ICE(内燃機関)車もラインアップしています。そのようなブランドはまだいいのですが、BYD以外でBEVのみとなっているNETAあたりは、今後状況が厳しくなっていくのではないでしょうかね」とも分析してくれた。

 タイでは「中国系ブランド同士の潰しあい」がはじまったと前述したが、蚊帳の外にいる日本メーカーを中心とするICE車にも乱売の余波がふりかかるのではとの心配も出ているので聞いてみると、「インドネシアはもちろん、タイでもそのようなことにはならないのではないですかね。東南アジアにおいて再販価値がバッチリ高く、品質も高く評価されているのが日本車で、消費者もそのあたりは理解して乗っていますので、再販価値を下げるような乱売は好まれない。そこは心配しすぎといえるかもしれませんね」と語ってくれた。

 確かに筆者はジャカルタ市中心部で道を走るクルマを定点観測しているのだが、よく見かける中国系ブランドはウーリンが圧倒的に多く(しかもICE車)、最近ではBYD(圧倒的にATTO3)もよく目にするようになった。あと、背景はよくわからないのだが、チェリー(奇瑞汽車)系のOMODA(オモダ)ブランド車も今回はよく見かけた。

 政府はBEV普及に前のめりなようにも見えるが、そもそも四輪車のマーケットがまだまだ発展途上にもあるインドネシアでは、二輪車がかなり多い。二輪車からBEV(四輪車)へ一足飛びに需要を移すのはいろいろな面で、かなり厳しいようにも見える。

 ただ、中国国内の景気低迷、そしてタイでの乱売傾向を受け、インドネシアでもとりあえず自動車ショーへ新規出展する中国系ブランドは今後も目立っていきそうである。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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