この記事をまとめると
■2024年7月の新車販売台数が自販連と全軽自協からそれぞれ発表された
■納期が不安定ということもあり年間を通じてフラットな販売台数になりやすい
■軽自動車では今後の動向的にスズキが年間販売台数でトップの売り上げになる可能性がある
7月に売れたクルマとは
例年7月は夏商戦後半月となっている。トヨタを除けば、新車の供給体制は深刻な納期遅延発生前の水準にほぼ戻っているが、多くのメーカー系ディーラー個々がまだ潤沢な在庫をもっているという状況でもないので、月末に向かってガンガン売りまくる(この場合は7月中に登録[軽自動車は届け出]に間に合う在庫車を売りまくるということ)ことはできないので、その意味では物足りない部分もあるといえよう。
自販連(日本自動車販売協会連合会)による2024年7月単月の登録乗用車の新車販売台数は22万9683台(前年同期比103.6%)となった。コロナ禍直前となる2019年7月の登録乗用車の新車販売台数が25万8150台だったので、2020年7月比では約88%となっている。
全軽自協(全国軽自動車協会連合会)による2024年7月単月の軽四輪乗用車の新車販売台数は10万9020台(前年同期比109.7%)となっている。こちらも同じく2019年7月の販売台数を見ると、12万1272台となるので2019年7月比では約89%となっている。
コロナ禍前の水準までは新車需要全体を見ても戻りきっていない状況が続いているといっていいだろう。
すでに一部メーカー系ディーラーでは、2024年9月、つまり2024事業年度締め(2024年4月~2025年3月)上半期(2024年4月~9月)末決算セールを睨んで活発な売り込みをしているところもある。あるメーカー系ディーラーでは、複数都道府県をまたいで展開するメーカー子会社系ディーラーがあるのだが、そこでは販売エリアが広いこともあり、多数の在庫車を持っているようで、店頭において「在庫処分!」といったチラシを作っていたりする。もちろん、諸物価高騰の煽りなどで、新車販売でもなかなか値引きが拡大しにくくなっているのだが、このチラシではかなり魅力的な条件が提示されていた。
供給体制が戻りきっていないので、一部新型車や人気車種では納期が長めになっているし、問題がそれほどなくとも、ディーラーにおける納車準備作業担当者不足などがあり、契約月内納車はさすがに難しいとして、納車まで2~3カ月程度を要するので、仮に7月の受注件数ベースで数が多かったとしても、そのほとんどが7月実績に反映できないということも影響しているかもしれない。
つまり、年度末などの増販期に際立って多く受注したとしても、供給体制の関係から新車販売台数が際立って多くなるということもなく、年間を通じてわりとフラットな統計数に落ち着きやすくなっていると販売台数推移の傾向を語ることもできる。
ただ問題はそれだけではなく、やはりいまの世の中にまん延している「増税重圧」や収まらないインフレによる物価高騰、そしてそれによる家計圧迫、さらには本稿執筆時点では円高に転じているが、それまでの異次元の円安傾向など、市場環境がけっしてよくなかったことも影響しているのは間違いないだろう。