Bレンジに入れ続けると燃費が悪くなるプリウス
次にトヨタ・プリウスでは、協調回生ブレーキといって摩擦ブレーキ(フットブレーキ)と回生ブレーキを適切に組み合わせて減速を制御する方法をとっています。ブレーキペダルを踏むと、まずは摩擦ブレーキが作動し、それと合わせてシステムが必要なブレーキの強さを判定して回生ブレーキを作動させ、足りない分を摩擦ブレーキで補うという仕組みになっています。
通常は「D」レンジでブレーキペダルを踏んで減速し、シフトダウンをしたほうがよいような、急な下り坂など強いエンジンブレーキが必要な場合には「B」レンジを使用することを推奨しています。
というのは、強い減速が必要なときに「D」レンジでブレーキペダルを踏んだ場合には、エンジンが停止するのでエンジンブレーキはかからず、回生ブレーキでは足りないため摩擦ブレーキを強く利かせなければなりません。雨の日の滑りやすい路面などでは、スリップするリスクが高まることも考えられますが、そこで「B」レンジに入れると、エンジンを空転させてエンジンブレーキが強く作用することにより、強制的により強い減速力を得ることができます。
アクセルペダルをオフにしていても、どんどん速度が上がっていってしまうような長い下り坂などで、安全に走行するために「B」レンジに入れる使い方が適しています。
ただ、エンジンをまわすため回転数が上がり、減速度を安定させるために摩擦ブレーキを弱く制御することもあって、回生量が「D」レンジの場合よりも少なくなってしまいます。そのため、燃費アップにはつながりにくく、「B」レンジのまま長時間走行すると燃費が悪化すると、トヨタの公式アナウンスにも記載されています。
一般的に回生ブレーキを使えば使うほど燃費にはよい影響が出て、BEVやPHEVではEVでの航続距離が延びるという認識ではありますが、「B」レンジでは一概にそうとはいえないということがわかります。仕組みを理解したうえで、賢く使いたいのが「B」レンジです。