アジアで目立った動きがない日本&欧州メーカーの「EV商用車」! 中・韓の動きを「静観」して見えるのは嵐の前の静けさか?

この記事をまとめると

■GIIAS2024には乗用車のほかにも商用車や用品展示のブースも出展されている

■インドネシアではバスの架装が盛んに行われるがヒョンデがいち早くボディ架装会社へBEVバスシャシーを提供していた

■ICE版シャシー供給では定評のある日系メーカーだがBEVシャシーでは目立った動きがない

インドネシアのモーターショーは商用車も見どころ

 GIIAS(ガイキンド・インドネシア国際オートショー)では、乗用車のほか、商用車や用品展示ブースも用意されている。筆者がインドネシアのGIIASやIIMS(インドネシア国際モーターショー)といった代表的な自動車ショーの取材をはじめたのは12年前ぐらいのこと。いまでもインドネシアで9割超の販売シェアをもつ日本車であるが、当時は限りなく100%に近いほどの販売シェアを誇っていた。

 当然、ショー会場では出展メーカーのメインは日本メーカー、というよりはほぼ日本メーカーに限られ、それに欧州のほか、韓国などアジア系メーカーがパラパラとブースを構えているぐらいであった。

 乗用車だけでは会場もスカスカなイメージになってしまうので、各商用車メーカーも十分すぎる広さの展示ブースを構えており、商用車も大好きな筆者は、取材を終えると商用車ブースに張り付いていた。

 商用車ブースといってもトラックばかりではない。インドネシアの商用車マーケットの特徴としては、バスの架装というのが盛んに行われているのである。たとえば、日野や三菱ふそう、いすゞといった日系商用車メーカーの展示ブースにバスが展示されていても、日系商用車メーカーが販売しているのはバスシャシーのみであり、ボディ架装は地元インドネシアの会社が行うことになるので、「三菱ふそう製シャシーを●●がボディ架装した車両」として展示しているのである。

 あるとき、某日系商用車メーカーブースへ行くと、ボディを架装してないバスシャシーのみが展示されており、かなり違和感を放っていたのをいまも覚えている。

 シャシー提供メーカーだけではなく、ボディ架装会社も独自にブースを構えている。興味深いのは、同じような見た目のボディであっても、日系のほか、ドイツ・ダイムラーやスウェーデンのボルボやスカニアといったシャシーの異なる車両が展示してあったりすることもある。筆者から見ると、どれも同じように見える車両であっても、フロントに各シャシーメーカーのエンブレムが貼ってあるので、ひと目でどこのシャシーを使ったバスなのかがわかる。

 GIIAS2024会場内のバス架装会社の展示エリアにある「LAKSANA(ラクサナ)」ブースには、韓国ヒョンデのBEV BUSシャシーを使った中型路線バス「E-UCLEUS」が展示してあった。シャシーについては、ヒョンデのマイクロバス「カウンティ」のBEV版となる「カウンティ・エレクトリック」のものがベースになっているのではないかと地元メディアは報じていた。

 ヒョンデはすでに2024年5月にインドネシアで開催された、バス専門の展示会となる「バスワールド2024」に、ラクサナの大型路線バス「シティライン3」というモデルへ大型BEV路線バスシャシーを提供した車両を展示しており、インドネシアでのBEVバスシャシー提供元として存在感を示してきている。

 インドネシアではすでに複数の中国系メーカーのBEV路線バスがジャカルタ市内などで営業運行しているが、調べた限りでは中国から完成車を輸入しているようである。ヒョンデがいち早く、地元ボディ架装会社へBEVバスシャシーを提供していたのを知って筆者は驚いてしまった。

 一般乗用車は別として、大気汚染問題や原油輸入量を抑えたいと考える新興国では、バスやタクシーといった公共交通機関車両のフル電動化は、国によってスピード感の違いはあるものの、避けては通れない動きとなっている。

 ICE(内燃機関)シャシーの供給では定評のある日系商用車メーカー。日系だけではなく、欧州系メーカーもBEVシャシーという面では目立った動きは見せていない。日本や欧米勢の静観にも見えるいまの状況は新たなフェーズへ動きだす、「嵐の前の静けさ」なのだろうか。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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