ランキングを見ると3車3様の販売状況が見えてきた
全国軽自動車協会連合会による通称名別販売ランキングのトップ3推移を、スペーシアがトップになった5月以降の3カ月で見てみよう。
■2024年5月
1位 スズキ・スペーシア 1万5160台 (191.9%)
2位 ホンダN-BOX 1万4582台(104.4%)
3位 ダイハツ・タント 6174台(55.1%)
■2024年6月
1位 ホンダN-BOX 1万6803台(104.8%)
2位 スズキ・スペーシア 1万2425台(137.4%)
3位 ダイハツ・タント 1万1933台(81.9%)
■2024年7月
1位 ホンダN-BOX 1万6500台(92.1%)
2位 スズキ・スペーシア 1万3073台(133.3%)
3位 ダイハツ・タント 1万2576台(122.6%)
※()内は前年同月比
いうまでもなく、新車販売においては受注と生産、納車の時期はズレてくる。実際、タントの出荷再開は4月10日なのだが、4月の販売台数は1866台で前年同月比15.6%だったりするのだ。
それにしても、5月のスペーシアが前年同月比で倍近く売れているのは、いくら新車効果の時期とはいってもイレギュラーな印象はある。タントが出荷停止していた期間に積み上げた受注が、5月に一気に納車された……という風に数字をとらえるのが妥当だろう。
なぜなら、スペーシアにトップを奪われたからといってN-BOXが売れていなかったわけではないからだ。5月の数字をよく見るとわかるように、N-BOXも前年比を超える販売実績となっている。
6月以降、タントが1万台を超える販売状況になると、スペーシアのイキオイは若干だが落ち着てきているのが見て取れる。それでも前年比130%を超えるペースで売れているのだからスペーシアの商品性が市場で評価されているのは間違いない。
そして、「ダイハツが買えないならスズキにした」ユーザーは存在していたのだろうが、それ以上に「ダイハツの出荷再開を待つ」としたファンが少なくなかったことを、統計データは示している。むしろ7月のデータだけで分析すれば、タントの販売増でN-BOXが台数を減らしているという風に見ることができるかもしれない。
いずれにしてもN-BOX、スペーシア、タントという長年のライバルに、日産ルークスや三菱デリカミニ/eKスペースという魅力的なモデルが群雄割拠状態の軽スーパーハイトワゴンは、まだまだ日本の自動車市場におけるメインカテゴリーであり続けるといえそうだ。