タクシー無線団体の解散まで起こった! 配車アプリはタクシー業界にとって「産業革命的」なインパクトだった (2/2ページ)

高齢者も問題なく活用中!

 アプリによるマッチングサービスに加盟する事業者のなかには、いままでもっていた無線センターの廃止、つまり無線配車自体を取りやめる事業者も目立ってきた。24時間稼働するのがタクシー。無線センターも24時間稼働しなければならず、それなりの規模のタクシー事業者ならば、無線オペレーターの数も結構な人数を確保することが必要だ。そのほかにも、無線システムの更新費用などもかかるので、コスト負担は結構なものとなる。なので、昨今のスマホアプリサービスの導入とともに、経営のスリム化のため無線センターの廃止が目立ってきたのである。

 無線配車の全面廃止はいままでの顧客喪失につながるのではないかとの話もあるが、大手スマホアプリによるマッチングサービスでは、個人のほか法人専用サービスも用意している。さらに、いままで特定事業者のタクシーしか呼んでいなかった人も、スマホアプリを使えば、事業者を特定せずに近くの同じサービスに加盟している事業者タクシーとマッチングされることになるので、空車の少ない効率的なタクシーの稼働ができるというメリットのほうが目立っているようにも見える。

 ちなみに筆者がダウンロードしているのは業界最大手ともいえるスマホアプリサービス。当初は筆者自宅近辺では1社しか加盟していなかったが、いまでは4社が加盟しており、繁忙時間帯をはずせば、それほど待たずにタクシーが来るようになった。時間帯や事情(時間に結構追われている)があるときはスマホアプリで配車する一方で、それ以外のときは顔なじみの運転士さんも多いので、まず馴染みの事業者の無線センターへ電話して配車要請するなど、筆者は使いわけも行っている。

「スマホアプリ」などというと、スマホを使えない世代といった話題がのぼってくるが、いまどきの高齢のみなさんは、若者ほどではないものの、結構な頻度でスマホを使いこなしている。顔なじみの運転士さんに聞くと、お年寄りが通院のためにスマホアプリで配車マッチングしてくることも珍しくないとの話であった。さらに、無線のみだったころに比べると、確実に新規利用客や新しい乗り方なども増えているとのこと。

 ある運転士によると、「朝の通勤時間帯は駅から乗られるお客さまでも、交通系ICカードの利用に加え、スマホ決済(配車要請しなくても、スマホ決済可能)がほとんどとなりました。おかげでつり銭の用意もそれほど気にしなくなりました」と話してくれた。クレジットカード決済も可能なのだが、機器にもよるのだろうが通信速度が遅かったり、領収書をはじめとして紙ベースでの発行物(領収書以外にもきちんと交信して決済出来たというものが出ないと決済終了にはならない)に時間を要するので、それを面倒がる乗客の多くがICカードやスマホで料金決済をするようになっているようである。

 筆者の最寄り駅につけている地元密着タイプの小規模事業者は、無線センターとやりとりをする無線配車システムをとりやめ、いきなりスマホアプリに一本化した。運転士の多くは昔かたぎの「ヤンチャ系」が目立つので反発も多いかなと思っていたら、「これはいいねえ」と意外なほど馴染んでいることにも驚かされた。

 筆者の使っているアプリは、地方の都道府県庁所在地をはじめ、主要都市でも同じアプリサービスに加盟している事業者が目立つので、地方でも気軽にタクシーを呼ぶことが出来たり、キャッシュレス決済など便利に使えるので重宝している。目的地に着いたら、そのまま時間を置かずタクシーを降りるだけという便利さは一度味わうとやめられないものである。

 何かと保守的な印象の強いタクシー会社が、満を持してはじめたスマホアプリによる空車タクシーマッチングサービスの導入は、ある意味タクシー無線団体の解散までを招いてしまった、産業革命級の出来事であったといってもいいだろう。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

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