「華を添え」「チームを助け」「ドライバーをサポート」! 日本が誇れる「レースクイーン文化」をレースクイーン&チーム監督に直撃した (2/2ページ)

レース関係者にとってレースクイーンはどんな存在?

 というわけで、レース関係者を代表して頂いて、TGR TEAM SARDの脇阪寿一監督にレースアンバサダーの必要性について語ってもらった。

──脇阪監督には以前、チーム監督の役割を解説して頂きましたが、今回はレースアンバサダーについてお尋ねしたいと思います。脇阪監督が現役時代からレースクイーンはいたと思いますが、ドライバー時代の脇阪選手にとってはどういう存在でしたか?

脇阪監督:僕の場合はレーシングカートを経てF3から四輪のレースを始めたんですけど、最初のチームにはレースクイーンがいなかったんですね。だから、早く陽の当たる場所に行きたい……という気もちが強かったですね。もちろん、クルマのクオリティやチームのレベルもあるんですけど、ビジュアルからいえば、やっぱり華やかなレースクイーンがいる場所に憧れました。レースクイーンがいる場所にはそこにファンが集まりますよね。グリッドにはクルマ、ドライバー、レースクイーンのすべてのファンが集まってきて、ごった返すんですけど、そのファンの3分の1を彼女たちがもっている。だから、若手ドライバーだった自分にとっては“早くトップチームに行きたい”、“早くトップカテゴリーに行きたい”と思わせる存在でした。

──なるほど。レースクイーンは若手ドライバーにとってトップチームやトップクラスのステータスを表す象徴みたいな存在だったんですね。でも、レースクイーンのファンも多いんですね。

脇阪監督:そうです。スーパーGTを見てもクルマのファン、ドライバーのファン、チームのファン、あとスーパーGTではレースクイーンではなく、レースアンバサダーなんですけど、レースアンバサダーのファンもいるから華やかになる。平日のイベントのないサーキットは無機質で、アスファルトと建物しかない施設ですけれど、スーパーGTは本当に華やかな会場になりますよね。レースアンバサダーはチームやスポンサーの広告塔ではあるんですけど、こういった華やかさという部分ではレースアンバサダーの存在が大きいと思います。

──スーパーGTはチーム数も多いのでレースアンバサダーの人数も多いですからね。やはり、レースクイーン文化は日本独自のものですよね。

脇阪監督:日本のモータースポーツでは、ゆるキャラやアニメ、アイドルも華やかにしてくれていますが、やはりレースクイーンはなくてはならない存在だと思います。ヨーロッパのモータースポーツでは、F1のグリッドガールが廃止されましたが、レースクイーンは日本のモータースポーツが誇れる部分の要素でもあるので、大切にしたいですね。

──TGR TEAM SARDとしてもレースアンバサダーは重要な存在ですか?

脇阪監督:もちろんです。TGR TEAM SARDもSARDイメージガール、KOBELCO GIRLS、WAKO’S GIRLSの女の子たちがいてくれるのでチームとしても華やかになるし、チームやスポンサーのブランドイメージを高めてくれる。彼女たちはサーキットだけでなく、イベントやトークショーにも参加してくれるんですけど、レースアンバサダーがいるといないとでは違うんですよね。彼女たちがいると彼女たちのファンがくるので、伝えたいファンに伝えられない……と思っているチームやドライバーもいると思いますが、それはチームやドライバーの努力が足りないんだと思います。彼女たちはSNSもファンサービスも努力を重ねたことで人気を得ているし、人気があるからこそ、希望のチームでレースアンバサダーになることができている。レースアンバサダーは身体をキレイに維持する……という本業とは別のプラスαの努力をしているので、レーシングドライバーも速く走ることとは別のプラスαの努力が必要だと思います。

──確かにレースアンバサダーは激務のなかで頑張っていますよね。

脇阪監督:レースクイーンはそうやって努力を重ねているから、過去の例を見てもレースクイーンを経てモデルになったり、タレントになって活躍する人も多いですよね。そうやって有名になった人々が趣味の欄にモータースポーツ観戦と書いてくれたりすることで、モータースポーツの知名度向上に繋がることもあるので、僕はレースクイーンの方々に敬意をもっている。そうやって相乗効果で盛り上がっていければ……というなかでも大切な存在です。

──レースクイーンはリスペクトできる存在なんですね。

脇阪監督:モータースポーツといえば、これまでレーシングドライバーを目指したり、メカニックに憧れたりする子どもが多かったんですけど、最近はレースクイーンも憧れの存在になっていて、お母さんがレースクイーンの衣装を作って、小さな女の子がその衣装を来てピットへ遊びに来る子どもたちも増えてきました。家庭のなかでモータースポーツの話題を提供している大切な存在です。スーパーGTではレースアンバサダーと呼んでいますが、やはり、彼女たちはレース場の本物のクイーンだと思います。

 以上、今回はサーキットに華を添えるレースクイーンをクローズアップしてきたが、やはり、彼女たちは日本のモータースポーツには欠かせない存在といえる。

 前述のとおり、スーパーGTでは性別の指定撤廃に伴い、レースクイーンからレースアンバサダーに名称が変更されており、それに合わせて男性のレースアンバサダーも登場。TGR TEAM ENEOS ROOKIEをサポートするAISINのアンバサダーとして韓国人モデルのパク・ミンジュンさんが注目を集めている。

 それだけに、今後は女性だけでなく、男性もサーキットに華を添える時代を迎えるかもしれない。


廣本 泉 HIROMOTO IZUMI

JMS(日本モータースポーツ記者会)会員

愛車
スバル・フォレスター
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登山
好きな有名人
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