緊急走行している救急車をいかにスムースに走らせるかが重要
東京消防庁によれば、令和5年中に受けた119番通報は110万2956件。これは現在の統計システムで集計してから過去最多。
問題なのは、そのなかの約2割が「緊急性のない問い合わせや、消防に関係のないもの」だというのだ。実例としては「いまやっている病院を教えてほしい」、「症状の相談がしたい」、「電気が消えなくなった。なんとかしてほしい」などがある。
東京消防庁は、不要不急の通報を減らすことが都民のみなさんの安心安全につながるとして、救急自動車の要請に対する理解を求めている。
救急自動車に対して、技術の面から現場到着所要時間を短縮したり、または救急自動車の安全かつスムースな走行をサポートする動きもある。たとえば、トヨタが導入を進めているITSコネクトでは、一般ドライバーが運転するクルマのどちらの方向から救急自動車が接近しているかをドライバーに表示や音などで知らせる仕組みがある。
車内で音楽などの音量が大きくて救急自動車のサイレンが聞こえにくい場合など、こうした機能が有効であり、また早めに道路脇に一時停止して救急自動車の走行への支障を減らすことが可能となる。
消防庁が名古屋市と豊田市で以前に行った実証実験では、救急自動車が走行する主要道の合計16の交差点間で、救急自動車の緊急走行時間が平均7.7%短縮している。
こうした技術対応はあくまでもバックアップとして考えるべき。大事なのは、国民ひとりひとりが救急自動車による円滑な活動をサポートする意識をもつことだ。