この記事をまとめると
■フィアット500には派生車が存在した
■アウトビアンキが手がけたビアンキーナはシリーズ累計27万5000台も売れた
■オープンモデルやバンモデルなど形状も豊富だった
オシャレすぎるフィアット500の派生車
細かすぎて誰もわからないかもしれませんが、オードリー・ヘプバーンが映画「おしゃれ泥棒」で乗っていた小粋なカブリオレ、それがアウトビアンキ・ビアンキーナです。また、Wikiの見解では「怪盗グルーの月泥棒2」にもよく似たクルマが登場しているとか。
とにかくキャッチーなスタイルのビアンキーナですが、ベースモデルとなったヌオーヴァ500の存在感が凄すぎて隅に追いやられている気もします。とはいえ、シリーズ累計27万5000台もこの世に躍り出た傑作モデルには違いありません。
よく知られているように、アウトビアンキは自転車メーカーのビアンキが戦前に運営していた自動車部門からスタートしています。
ところが、第二次大戦後に材料難による生産規模の縮小によって親会社から切り離されることに。この際、出資を申し出たのがフィアットとピレリで、1955年にアウトビアンキとして再スタートを迎えたのでした。で、記念すべき最初のモデルとなったのがほかでもないビアンキーナでした。
フィアットのヌオーヴァ500(いわゆる2代目チンク)をベースにしたスモールカーでしたが、フィアットの後ろ盾が強力だったからか、1957年のデビュー当時はヌオーヴァ500の売上げに迫るものがあったそうです。
なにしろ、最初にリリースされた「トラスフォルマビレ」と名付けられたモデルは、巻き上げ式ソフトトップをもちつつ、500とは比べ物にならないほどスタイリッシュなボディを架装、シリーズ唯一のスーサイドドア(後ろヒンジ前開き)など、大衆が喜ぶ要素を全部載せ!
前述のとおり、ベースとなった500からエンジンをはじめ、シャシーやもろもろのコンポーネント(といってもベースがミニマムだから、さほど多くはありません)をまんま流用。駆動方式もRRそのままです。トランスフォルマビレにはわりと立派なボンネットフードが付いているものの、中身は500同様にミニマムサイズでほとんど役には立ちません(笑)。
それでもシリーズ3までアップデートを繰り返し、スペシャルと呼ばれた最終モデルの1500台を加えると、1962年までの総生産台数は堂々の3万5500台をマークしています。