「しょせん飾り立てたサニーだろ」なんて揶揄されるがなかなかどうして! 小さな高級車「ローレルスピリット」はバカにできないホンモノだった

この記事をまとめると

■日産ローレルのエントリーモデルとして販売されたのが「ローレルスピリット」

■ボディはB11型サニーだがローレルのグリルやヘッドライトなどを装着していた

■「小さな高級車」として当時は一定の評価を集めていた

エントリーモデルでも中身はしっかり「ローレル」だった

 ハイオーナーカーとして人気を博したローレルを有する日産モーター店に1982年1月に投入された新モデル、それがローレルスピリットだった。

 日産モーター店はローレルやセドリックといった人気車種を擁していたものの、エントリーモデルに該当するモデルが存在していなかったため、1.5リッタークラスの車種を追加してより多くのユーザーを取り込むために設定されたもので、ローレルの名前を冠してはいるものの中身は前年にデビューしたB11型サニーとなっていた。

 とはいえローレルの名前を冠するにあたって、エクステリアはローレルと共通デザインとなる格子型グリルや異形ヘッドライト、ボンネットマスコットに加え、要所要所にクロームをあしらって高級感を演出。

 インテリアにもローレルと同形状のステアリングホイールをはじめ、上級グレードにはモケットシートやクロス張りのドアトリムをおごるなど、しっかり差別化が図られていた。

 また、ボディタイプはフォーマルな4ドアセダンのみとし、高級感のあるツートンカラーも用意。搭載されるエンジンもサニーにラインアップされる1.3リッターはなく、1.5リッターのみとしてローレルの名前に恥じないものとなっていた。

 1986年8月には2代目へと進化し、ベースもB12型サニーへと改められた。2代目モデルではグリルやヘッドライトだけでなく、フェンダーも専用設計のものが採用され、大型バンパーで全長もサニーより大型化されるなど、より差別化が図られていた。

 インテリアカラーには新たにマルーンが追加され、一部グレードにはベロア調起毛トリコットのシート及びドアトリムが用意されるなど、高級化は留まることを知らず、最上級グレードはローレルの最廉価グレードよりも高額になるほどだったのだ。

 ローレルスピリットはゴテゴテ飾り立てただけのサニー、と揶揄されることも少なくないが、実際は日産モーター店のエントリーモデルとして堅調な販売を維持しており、経済性の高い1.5リッターモデルでありながら、ローレルを思わせる装備を備えた「小さな高級車」として、当時は一定の評価を集めていたのである。


小鮒康一 KOBUNA KOICHI

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愛車
日産リーフ(2代目)/ユーノス ロードスター/マツダ・ロードスター(2代目) /ホンダS660/ホンダ・オデッセイ(初代)/ 日産パルサー(初代)
趣味
長距離ドライブ
好きな有名人
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