マイクロカーメーカーが突如作ったスーパーカー「メガトラック」! たった数台の販売で消えた悪路も走れる「バカデカ」スーパーカーの正体とは (2/2ページ)

30年前に誕生していたスーパーオフローダー

 マイクロカーのメーカーがスーパースポーツというコンセプトの変貌ぶりには誰もが驚かされたが、1992年のパリサロンに姿を現した「メガトラック」と呼ばれるモデルは、スーパーカーとしては不釣り合いなほどに大きなウエッジシェイプのボディデザインをもつスーパーカーでありながら、走る道を選ばない、すなわち最近ではポルシェの911ダカールや、ランボルギーニのウラカン・ステラートに似たコンセプトをもつ、オン・オフ共用というコンセプトを持ち合わせたモデルだったのだ。パリ・サロンの会場では、当然のことながらそれには熱い視線が集まった。

 メガトラックには、メルセデス・ベンツから供給された6リッターのV型12気筒エンジンが搭載され、389馬力の最高出力と570Nmの最大トルクが発揮された。組み合わせられるミッションは4速AT。静止状態から100km/hまでの加速は5.8秒、最高速は250km/hがオフィシャルデータだ。

 サスペンションには全輪駆動のメカニズムが与えられ、クーペモデルの最低地上高はスタンダードな203mmから最大で303mmまで拡大できる。装備されるのはもちろん油圧サスペンション。その大きなボディサイズの恩恵で、キャビンが4人乗りとして設計されていたのも特長だ。

 メガトラックは、それほどに大きいスーパーカーだったのか。ここでいくつかの比較データを紹介しよう。まず全長は5080mmとメルセデス・ベンツSクラスクーペより15mm長く、全幅の2220mmはハマーH1より23mm広い。全高の1440mmはフェラーリF40より316mmも高い設定なのだ。車重も2200kgを超える。

 オールトレインスーパーカーというタイトルで売り出されたメガトラックだが、それはモータースポーツにも積極的に参加したものの、わずか3年ほどで生産を終了してしまう。生産台数は5台から10台とみるのが妥当で、これらは重量の問題から後輪駆動化されていた。

 後継車のメガ・モンテカルロはさらなる小型化と軽量化を図り4.5秒の0-100km/h加速と301km/hの最高速をスペックシートで謳ったが、こちらもその販売は好調とはいえなかったようだ。1996年から1999年までの生産期間にデリバリーされた数字は、オフィシャルには一切記録されていない。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
好きな有名人
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