豊田章男会長の「道楽」とは不見識なのか? 前例のない大企業トップによる「本気の」モータースポーツ活動で得られる効果は絶大 (2/2ページ)

モータースポーツ活動はマーケティングの一環

 だが、1970年代に入ると、排気ガス規制への対応やオイルショックの影響などで自動車メーカー各社が自動車レースから撤退する動きが広がる。

 そうした時期にトップクラスの自動車レースに参加できるのは、富裕層の企業経営者や彼らの子息が多かった。または、企業経営者がレーシングチームを起こし、自動車メーカーチーム出身のドライバーと契約するケースもあった。

 その後、自動車メーカーはそれぞれの経営状況や事業戦略によって、自動車レースに対する捉え方に違いが生まれていく。

 モータースポーツと呼ばれるようになった近年でも、富裕層によるプライベーター、プロドライバー、プライベートチーム、自動車メーカー直属チーム、または自動車メーカーが資金やエンジンなどをプライベートチームに提供するなど、カテゴリーや参加するクラスによってさまざまなケースが併存している状況だ。

 こうしたなかで、トヨタは直系チーム、エンジン提供、シリーズの企画運営など多面的なモータースポーツ事業を展開。豊田章男会長は「モリゾウ」としてスーパー耐久シリーズに参戦したり、またモータースポーツ関連イベントに参加しているところだ。

 大手自動車メーカーのトップが事業の一環としてここまで継続的、かつ多様なモータースポーツの最前線に立つことは、自動車産業史上、過去に事例がない。その上で、トヨタはモータースポーツによる技術開発の効果、またマーケティングとしての成果について決算報告などの場で定常的に説明してきた。

 このような事実をどう捉えるかは、人によって差があるといえよう。


桃田健史 MOMOTA KENJI

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トヨタ・ハイエースキャンパーアルトピア―ノ等
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動物たちとのふれあい
好きな有名人
聖徳太子(多くの人の声を同時にしっかり聞くという伝説があるので)

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