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豊田章男会長の「道楽」とは不見識なのか? 前例のない大企業トップによる「本気の」モータースポーツ活動で得られる効果は絶大 (2/2ページ)

豊田章男会長の「道楽」とは不見識なのか? 前例のない大企業トップによる「本気の」モータースポーツ活動で得られる効果は絶大

この記事をまとめると

■トヨタの株主総会で豊田章男会長のモータースポーツ活動への批判が取り沙汰された

■そもそもモータースポーツは欧州の貴族や富裕層の道楽の一種だった

■豊田章男会長はモータースポーツをプロモーションの一種として継続的に最前線に立っている

初期のモータースポーツは貴族の「道楽」だった

 トヨタ自動車(以下、トヨタ)が2024年6月18日に開催した第120回 定時株主総会での株主からの質問が、ネット記事やSNSで話題となった。

 型式指定における認証不正問題などを受けて、企業としてのガバナンスが課題であり、そうしたなかでモータースポーツ活動などトヨタの事業内容について聞いたものだ。そのなかで、モータースポーツ活動の一部が、豊田章男会長による「道楽」ではないかという表現があったようだ。この道楽という言葉がひとり歩きし、さまざまな意見がSNSやネット記事で広がったものと推測される。

 本稿では、この質問の意図や、それに対する回答を紹介するのではなく、モータースポーツと自動車産業の関係性について考える。

 そもそもモータースポーツは、いや以前は自動車レースという表現が多かったこうした分野は、欧州の貴族や富裕層の道楽の一種だったといえよう。庶民には経済的な理由から自家用車を所有することが難しかった時代、クルマを使って競争をすることは、経済的な余裕がある人々が個人的に楽しむアクティビティだった。

 一方で、クルマに関する技術開発の場として、クルマの設計者や製造者が自らドライバーとなって自動車レースに参加するケースもあった。

 1960年代になると、自動車メーカーが研究開発事業の一環として自動車レースを「走る実験室」と位置付けた。また、若い世代に向けて、いまでいうマーケティング活動として、自動車レースに積極的に参戦するようになったのだ。

 そうした活動では、実験担当部署の社員ドライバー、または外部から採用したドライバーなどがおり、それがのちのプロドライバーという位置付けになる。

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